キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

胸いっぱいの単語帳 -1-

ついに書いてしまった。
でも後悔はしていない。


結美メインのここでは普段書くことのない水澤摩央SSです。
教科の専門用語が時々出てきます。というより出しました。
4話くらいでまとまってくれることを願ってます(爆


皆様からの反応次第で2月の私立大学編も書こうかな、と考えてます。
**********


「何を持ち出しとるんじゃこのボケくま~~~っ!!」


あの事件から1ヶ月。
摩央姉ちゃんの勉強アレルギーは、飛躍的に改善されていった。
まさか幼稚園児の使うような問題集から始めるとは思っていなかったけど、やっぱり難関大の付属校を目指していただけの頭脳はある。
1週間とかからないうちに小学校や中学校の内容をペロリと平らげた。
「三平方の定理…?相似…!?証明…!!?……ひぃぃぃぃ」
こんなことを言っていた摩央姉ちゃんの姿はもうなかった。
高校レベルに入ると、家庭教師は僕を含めて2人いる。それを利用しない手はない。
そこで高1レベルは菜々に任せることにした。
その菜々と一緒に勉強を始めると、あれよあれよという間に高1の範囲をクリアしてしまった。
「摩央姉ちゃん、すご~い!」
菜々は目を丸めてびっくりする。
「私の手にかかればこんなものよ」
シャーペンを指で回しながら得意げな年上の幼馴染。
勉強のときにだけ影を潜めていた摩央姉ちゃんらしさが、戻ってきた。
この変貌ぶりにびっくりしているのは妹だけではない。僕もこの成長…もとい取り戻すペースの速さについていけなくなりそうだ。
こんなことを言うと失礼だけど、追い抜かれるのが怖いとさえ感じる。
「水兵リーベぼくのふね…6.02×10の23乗…」
「第2文型のSVCのCは補語でS=Cとなり、形容詞や名詞が入る…自動詞が他動詞になるには前置詞が必要…」
「摩央姉ちゃん、そろそろ帰ったほうが…」
「もうちょっと、もうちょっとだから」
復習さえしなかった摩央姉ちゃんが、連日のように家に来てノートにペンを走らせる。
ノートの数はもう20冊を数える。ルーズリーフでは到底追いつかない。
僕の家で3人、遅くまで机を囲む生活が続くようになった。


10月10日。火曜日。
「摩央姉ちゃん、センター試験の願書ってもう出した?」
「あ、それならホームルームのときにトモちゃんからもらって、とっくに出したわよ」
学園祭のほとぼりも冷め、3年生が本格的に受験に向かっているこの時期。
摩央姉ちゃんも乗り遅れることなく、1月に迎える第1関門のエントリーを済ませていた。
「調子はどう?」
「そうね、いい感じかも」
1週間後には中間テストもある。その対策も、かなりできているようだ。
「でも、英語がね…」
「英語なんて単語と熟語を暗記したらすぐ出来るじゃないか」
「そうもいかないのよ~。先生がすっごく厳しくて、今度作文書かせるって言ってたから」
(英作文か…難しそうだな)
作文は英単語のボキャブラリーが豊富なだけではなく、日本語の力も必要になる。
文法も頭に入れておかないといけない。
「入試対策だって言ってるけど、さすがにげんなりだわ…」
なんでも、テーマはテスト用紙を見てみないとわからないという。
摩央姉ちゃんが愚痴るのも無理はない。
しかもセンター試験は全教科マークシートだけ。
英作文が出るのはセンター試験後にある私立大学の一般入試や超難関の国公立大学の二次試験。
やっと“センター”に向けて軌道に乗り始めた摩央姉ちゃんに「入試対策」という言葉は時期尚早。
「まあ、やれるだけやってみるけどね」
力のない言葉がようやく返ってくる。
「『物はためし』と思って、やってみたらいいよ」
「うん、ありがとう。光一」
僕が言葉をかけると、かすかに笑みを浮かべてくれた。


その笑みは、1週間後には消えてなくなっていた。


10月20日。金曜日。
テスト期間が終わった。
いち早く帰る準備を済ませ、摩央姉ちゃんを迎えに行こうと3年の教室前に向かう。
階段を上ると、前から摩央姉ちゃんが歩いてくるのが見えた。
「あっ、摩央姉ちゃん」
「……」
僕の横を素通りして、俯いたまま階段を下りてゆく。
嬉々として僕を迎えるいつもの摩央姉ちゃんじゃない。
明らかに様子がおかしい。
「摩央姉ちゃ…」
「“Leave me alone...”」
―――独りにさせて。
追いかける僕に摩央姉ちゃんが発した言葉。
小さな声だったけれど、はっきりと聞き取れた。
「……」
三つ編みの頭を垂れながら、幼馴染は僕の視界から消えてゆく。
状況を把握した僕はそれ以上何も言えなかった。
苦手だった勉強に身を入れるようになってから、人知れずいろいろと溜め込んでいたのかもしれない。
摩央姉ちゃんは強がって、弱いところを見せないときがある。
それを受け止め切れなかった僕に、責任はある。


独りになんてさせておけない。そんなこと、できるわけがない。


僕は追いかけた。
摩央姉ちゃんを助けたい―――その思いだけで、校門を突っ切った。
「摩央姉ちゃん!」
通学路を少し行ったところで、姿を確認する。
ボリュームを上げた僕の声に反応する摩央姉ちゃん。
立ち止まったのを見て前方に回る。
そして摩央姉ちゃんの前に跪き、手を取った。


「痛いの痛いの飛んでけ~っ!」
あの時やったおまじない。
勉強のためにはペンすら持てなかった摩央姉ちゃんに効果覿面だったのは、これだった。
「光一…」
傷心して失っていた表情が、少しずつ色を伴って戻ってくる。
まるで僕が唇を通して色を注いでいるかのよう。
「ごめんね…。私、あなたに相談しなくて…」
「いいよ。摩央姉ちゃんが元気になってくれたら、それでいいから」
「…嬉しい」


「ねえ、手…つなごっか」
「え…」
立ち上がった僕に添うように立ち、指をそっと交差させる。
指の動きがとても自然で、ドキリとする暇を与えない。
「こうすると安心するみたい」
吹っ切れたような顔をしているのを見て、ちょっと安心した。


「これから落ち込んだときは、光一におまじないをかけてもらわないとね」
スポンサーサイト

テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

コメント

受験戦争が始まりましたね(笑)ようやくキャラクターソングVol.3買いました(汗)ヨドバシにもなく結局アニメイト京橋で買いました。どの曲も良かったですよ!!
【2007/01/21 18:26】 URL | 雷 #-[ 編集]
始まりましたねー。私も○年前にその渦の中にいましたよ。
それにしてもヨドバシは使えないですねぇ(笑)キャラクターソングはもう少し我慢すれば買えそうです。
結美&なるみだけでも手に入れたいんですが。

第1話を書いた後でまさかの布団生活になってしまって、センターSSはちょっと遅れて仕上がることになってしまいました。
すみません。
【2007/01/21 22:13】 URL | Author #y/MN7pSg[ 編集]

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

当室はリンクフリーですが、ご一報いただけると幸いです。
御用の方はメールフォームからどうぞ。

来訪者数

最近の記事

カテゴリー

プロフィール

星乃裕一

Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
『アマガミ』の二次創作もぼちぼちと。


mixi参加してます。
下記メールリンクより管理人宛にアド添付してメールをいただければご招待させていただきます。
あわせて感想などもありましたらどうぞ。

管理人メール

リンク

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。