キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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北風の吹く夜

結美の誕生日記念SSです。


星乃さん、17歳の誕生日おめでとう。
**********


「ふー」
北風が吹くコンビニの前。
両手でボトルを包み、カイロ代わりにして手を温める。
手袋の上から感じる温もりに愁いを感じて、少しセンチになってみたりして。


ついていたおまけの小袋を見て、キャラクターの動物の可愛さに少し頬が緩む。
『今日は全国的に寒波の厳しい日になるでしょう』
天気予報のとおり、時折雪がチラつく今日の天気。
正月気分を完全に吹き飛ばす寒波が身にしみる。
(…あったかい)
風の当たらない場所に身を避け、ペットボトルのオレンジの蓋を回し、少し口に含んでみる。
ボトルを頬に当てて温かさを感じながら、もう一回センチな気分になってみる。
鞄の中の電話は…まだ鳴らない。


お正月。
お父さんが携帯電話を買ってくれた。
家族みんなで携帯を持つことになって、その恩恵を授かった私。
「お誕生日おめでとう!」
今日は学校のお友達からお祝いメールがたくさん届いた。
彼のおかげで明るい性格になって、転校した先でもお友達になってくれる人が増えた。
その人たちからのお祝いは嬉しい。
でも、その中に彼からのメールは来ていなくて…。
携帯を持つことを教えたのは1週間前に出した手紙。
そこにメールのアドレスも記しておいた。
彼が携帯電話を持っているかはわからない。だけど、なぜか期待してしまう私。
(きっと、持ってるはず)
根拠はないけれど、信じて疑わなかった。


もうひとつ、信じていることがある。
今日、彼が私に会いに来てくれるということ。
彼も学校がある。バイトもあるかもしれない。
来れないって事はわかってる。
来るって信じること自体がわがままだって言われるのも覚悟してる。
…でも、私は来ると信じている。
日も暮れて風も強くなった夜の街。
寒くて時々コンビニの中で暖を取る。
目の前には駅。その駅にひとつしかない改札がコンビニの前にある。
改札を目の前にして、彼の姿が現れることを想像する。


ブルルルルル…


鞄から震える音がした。
急いで鞄から携帯を取り出す。
(…誰だろう?)
ボタンを押し、メールの本文を見る。
「早く帰ってこないと風邪引くわよ」
お母さんからのメール。
学校の帰りだからまだ制服のまま。家には帰っていない。


帰らなきゃ…。


でも…。


葛藤。
外の風はさらに勢いを増し、改札から出てきた人たちは前かがみで歩いている。
前に歩くことも大変そうに見える。
時計の針は夜11時。
終電まで待ちたい。
でも…。


「ごめんなさい!もう少ししたら帰ります」
私は寒さに耐えることを選んだ。
彼が来てくれるという思いが、私の身体をコンビニの外へ導いた。
終電が来るまで、もう残された時間はわずか。
そのわずかな灯りを頼りに、私は彼が来ることを祈り続けた。


ブルルルルル…


お母さんからの返信かも…おそるおそる携帯を取り出し、画面を見る。
見覚えのないアドレスが映し出される。
「誕生日」と打たれた件名。
願いが叶ったのか、それとも…。不安と期待が入り混じる。
(落ち着いて、落ち着いて…)
一度目を離し、目を瞑って携帯の画面が目の前に来るように動かす。
何回も深呼吸をしながら気持ちを落ち着かせる。
(えいっ!)
意を決して目を開ける。
その私の視界に飛び込んできたのは、数行のメッセージ。
「星乃さん、誕生日おめでとう」
(…!)
彼だとすぐにわかった。
急いでメールの続きを読んでみる。
「改札に、入ってきて」
(えっ…)
まさか。
改札に入り、到着したばかりの列車のホームに向かう。
その列車から降りてきた乗客の中に、彼はいた。
「……」
「……」
二人の目が合う。
彼は立ち止まり、私を見つめる。
それを見つめ返す私。
私は彼に駆け寄り、彼の胸めがけて飛び込んだ。
「ずっと、待ってた…」
「……」
彼のコートに包まれながら、彼の温もりを味わう。
温かい感触に触れるのが嬉しくて涙が止まらない。
そんな泣きじゃくる私の頭を、彼は優しく撫でてくれた。
「風邪…引くよ」
「…うん」
巻いているマフラーを私の首に巻く彼。
二人で半分ずつ巻いて、寒さを分け合う。
「誕生日、おめでとう」
「…ありがとう」
マフラーで隠し、二人きりのキス。
まだ慣れない感触だけれど、好きな人とキスできることが幸せ。
「びっくりした?」
「…うん」
見ると、彼も制服のままだった。
きっと学校からそのまま電車に乗ってきたんだと思う。
その気持ちが嬉しくて、また涙が目を潤す。
「実は…バイトでお金貯めて、星乃さんと同じ携帯にしたんだ」
「えっ?」
彼はそう言うと、持っている携帯を私に見せてくれた。
「あ…」
「同意書取るの大変だったんだよ」
苦笑いを浮かべる彼。
私も自分の携帯を取り出し、彼のものと並べてみる。
「これでお揃いだね」
「うん」
同じマフラーの中でふたり笑顔を交わす。
「そうだ、プレゼント」
そういうと彼は私の手を取り、駅から少し歩いた建物に私を誘った。


…初めての外泊。
でも、ただの外泊じゃない。
好きな人と同じ部屋で夜を明かすという誕生日プレゼントが付いてきた。


彼と一緒に過ごした一夜は、この上なく幸せだった。
こんな時間が続いてほしい…そう願った。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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キミキス

キミキス『キミキス』(Kimikiss)は2006年にエンターブレインから発売された、プレイステーション2用恋愛シミュレーションゲームソフト。トゥルー・ラブストーリーシリーズのスタッフが制作に携わっており、同シリーズとの類似性や関連性がみられる。あ nozomiのブログ【2007/03/03 09:51】
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SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
『アマガミ』の二次創作もぼちぼちと。


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