キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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2人きりの修学旅行 -3-

クリスマス編第3話です。
この後は大晦日~元日編、って感じになりそうです。


※18歳以下の方はご注意を。w
**********


(キーンコーンカーンコーン)
「後ろから前に集めて!」
期末試験が終わった。
出来は上々。まずは心置きなく修学旅行に行ける。
「なあ、お前はどうだった?」
みんなでテストの出来を話しながら、僕たちは駅前のデパートに買い出しに向かった。
しおりを見ながら必要なものを買い込む。
防寒具、かばん、部屋着…両手が塞がるくらいたくさん買った。
その帰りに、一緒に行った時計売り場のそばを通りかかる。
そういえば、星乃さん…。
(まあ、まさか…ね)
彼女の手紙のことを忘れたわけじゃない。
でも、星乃さんと会えるかもしれないという可能性は限りなく低い。
そう思っていた。


空港でチャーター便に乗り北国に向かっている時も、その気持ちは変わらなかった。
「寒いな~」
「そりゃ北海道だもんな」
「確かにそうだ」
手袋をしていても感じるツンと来る寒さに、思わず手袋の上から息を吹きかける。
降り立った空港の周りは一面の雪景色。輝日南ではめったに見られない光景に胸を躍らせる。
―――修学旅行が始まる。
これから起こる楽しい出来事に期待しながら、僕たちはホテルへと足を進めた。
予想のつかないドラマが起こるとも想像せずに。


**********


「星乃さん、準備ってもうやった?」
「う、うん。一応だけど」
「早いなぁ」
「ううん、そんなことない」
出発の日が近づくにつれて、お友達と修学旅行のことで話す機会が増えた。
友達の少ない私にとって、話しかけてくれることが増えるのは嬉しい。
一人で本を読むのも好きだけど、クラスの人とお話するのも楽しいと思うようになっていた。


出発当日。
チャーターバスに乗り、北国へ向けて車は走った。
道中は班の人たちとお話をしたり、周りが寝ている間は一人で本を読んだり。
自分らしい時間を過ごすことができた。
ひとつ気がかりなのは、彼がどこに泊まっているかということ。
「もし…だけど、一緒だったらいいな」
あの一文を思い出しながら、白粉が塗られた山々を眺めていた。
『ただいま宿泊地に到着いたしました。皆様お忘れ物のないよう―――』
バスガイドさんのアナウンスでみんな一斉に降りる準備を整え、ホテルへと入っていく。
「歓迎」と書かれた黒いボードを見る。
(来てる…かな?)
あの学校の名前があることを期待する。


『輝日南高校様』


―――彼と一緒だ。
私の心はすでに彼のところへと向いていた。


運動が得意じゃない私にとって、スキー講習は大変なことだった。
運動部の子やインストラクターさんに助けられて、何とかやっている状態。
部屋に戻ると疲れを隠せず、畳まれた布団の上でそのまま眠ってしまっていた。
当然、彼の姿を探す余裕なんてなくて…あっという間に3日目の夜。
この日は吹雪だったおかげで講習は休み。体を休めることができた。
「ねえ、輝日南高校の男子ってイケメン多くない?」
「ほんとほんと。一回アプローチかけちゃおっかな」
「今日で最後なんだし、いっちゃえいっちゃえ!」
蛍ヶ浦高校の女の子たちは輝日南高校の男の子たちのことが気になっていた。
私もその一人…そして、ひそかにあの人に会えることを望んでいる一人。
「星乃さんもついてきてよ、ほら」
「ひゃあっ」
私の想いを知らない同じ班の女の子に強引に部屋から連れ出され、輝日南高校の男の子たちが泊まっている棟に向かった。


「わ、私…ここでいいから。みんなは先に行ってて」
「いいじゃんいいじゃん、もう少しなんだしさ」
「でも…」
「あっ、来たよ!」
男の子が通るたびにガラス越しに歓声を上げる女の子たち。
まるでアイドルグループの出待ちをしているみたい。
(…そうだ)
みんながガラスの向こうに夢中になっているのを確認して、気づかれないようにひとり階段を下った。


**********


ホテルに着いてからの3日間は、ほとんどがスキーの講習だった。
一日中スキー板を履いているせいで、足が痛い。
だから部屋の外に出て遊んだり…なんてできる状態ではなくて、部屋でゴロゴロとしていた。
「随分お疲れのようだな」
「そりゃそうさ。慣れないことを一日中やってるんだから」
「まったく、情けないな君は」
「うるさいよ」
柊や他のメンバーともこんなやりとりをずっと続けていた。
4日目が吹雪で講習どころではなくなり、まる一日が休養日になった。
その夜。この日で泊まりは終わり。
ホテルの地下にある大浴場から上がり、みんなで入り口のソファに座ってくつろぐ。
男ばかりの空間に漂う独特のむっとする空気。
「上でゆっくりするか」
「そうだな」
「じゃ、俺らは後で追いかけるから」
他のメンバーたちと別れ、柊と1階のロビーへと向かうことにした。


「…くん」
(ん?)
階段を上っていると、誰かが僕を呼んだような気がした。
女の子の声だったような…。
「おっと、邪魔のようだな」
「えっ?」
一言発して、柊は僕のそばからそろそろと立ち去った。
柊が去った後ろから、茶がかったセミロングの女の子が近づいてくる。
(えっ…!)
目をこすり、焦点をその人に合わせる。
目の前に現れたのは…紛れもなく、星乃さんだった。
夢じゃないか―――頬を平手で一発殴ってみる。
…イタイ。
柊がいなくなった理由をようやく理解した。
相変わらず、こういう場面の判断力はすごい奴だと感心する。
(柊、いつも悪いな)
心の中で呟いて、目前の恋人に目を向ける。


**********


「星乃さん!」
「相原君…」
少しずつ、距離が縮まってゆく。
視界に互いの顔がしっかりと映し出される。
「星乃さん…まさか一緒のホテルなんて」
「私も驚いたわ。本当に一緒のホテルに泊まれるなんて思ってなかったから」
こんな再会の形ってあるのかな。
ドラマでは描けないような急展開に、ただただ驚いている。
「あ、落ち着いて話せるところに行かない?」
「…うん」
近くにいるのは色事に敏感な高校生たち。
遠くからの視線さえ近くから見られているような感覚になる。
そんな周囲のことが気になって、二人で別の場所に移動した。


誰もいないゲームセンター。
ここは高校生の立ち入りが禁止されていて、誰も近づいてこないはず。
「ここなら大丈夫かな」
壁に沿って置かれているソファにもたれ、消されていたストーブをつけて、二人で座りながら手を当てる。
「寒いね」
「ええ…」
誰もいない空間。そこに二人だけの時間が、こっそりと出来上がっている。
お互いに肌を寄せあって、寒さと暖かさを分け合う。
「……」
「……」
嬉しくて、言葉が出てこない。
そばにいられることが、こんなにも嬉しいことだなんて。
初めて…否、改めて味わう感覚に二人で酔いしれた。
「あ…」
ゲームセンターの入り口に飾られた小さなクリスマスツリー。
頂上の星が二人に向かって輝いているように見える。
そういえば、今日はクリスマスイヴ。
「そういえば、何もプレゼント用意してないや…」
「ううん、いいの。あなたと一緒にいられたら、私…」
互いの存在を確認する。互いの大切さを確認する。
それが何よりも嬉しいクリスマスプレゼント。
「僕は、ここにいるよ」
「…うん。私も、ここにいるわ」
自分の胸に手を当てて、相手が胸の中にいることを示しあう。
「…ねえ、相原君」
「何?」
自分の胸に置いていた手を相手の胸に置き換え、鼓動を感じあう。
厚着をしていても、この音だけは伝わってくる。
「ちょっと…恥ずかしい…けど…」
「僕だって…」
恥じらいながらも、しっかりと拍動を感じていた。


もう言葉は要らない。
正面から向き合い、互いの目を見つめる―――これが、二人の合図。
求めるままに体を寄せ、唇を重ねる。
あの日一瞬だけだったこの感触。
サンタクロースも持って来れない、会えない淋しさを満たしてくれる魔法。
その魔法がいま、二人に降りかかった。


「そろそろ、戻らなくちゃ…」
どれくらい重ねていたのかわからない。
けれど、いよいよこの時が来てしまった。
「それじゃ相原君…またね」
「うん。また会いに行くから」
「うん…ずっと待ってる」
何時間にも満たない二人だけのクリスマスイヴ。
でも、二人にとって時間は関係ない。
会えることが、幸せだから。


**********


後ろ髪を引かれる思いで私は彼と別れた。
嬉しくて、涙が止まらなかった。
もう少し…一緒にいたかった…。
腕時計を見ながら現実に戻り、就寝時間を確かめる。
早く戻らなくちゃ。
「星乃さん、どこ行ってたの?」
「うん、ちょっとね」
部屋に戻ると、さっそく事情を聞かれる。
「さっきから噂になってるよ、誰かと会ってたって」
「もしかして、彼氏…とか?」
「そ、そんなこと…ない…」
図星でしょ、という指摘を笑ってかわしながら、私たちは床についた。
図星なんだけど…これは二人だけの秘密。


だから蛍ヶ浦に帰っても、私は彼のことを口にはしなかった。


**********


(行っちゃったな…)
恋人を見送った後の虚しさを感じる。
「さて、自由時間は君の甘~い話でも聞くとするか」
ゲームセンターから戻ろうとした僕の後ろから、聞き覚えのある声がした。
「ひ、柊っ!!」
声がした後ろで待ち構えていたのは、同じ班のみんな。
みんな薄ら笑いを浮かべていて、なんだか怖い。
「あ、ははははは……」
一部始終を見られていたとわかった僕は、頬が引きつるのを隠せなかった。
「ま、男同士の嗜みってところだ。観念したほうがいいぞ」
柊にトドメを刺され、宿泊部屋に強制連行。


―――その後、部屋で根掘り葉掘り星乃さんのことを聞かれたのは言うまでもない。
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『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
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