キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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2人きりの修学旅行 -2-

クリスマス編第2話です。
続きはまた明日…。


途中であるものが変わります。
++++++++++


彼からの返信が来たのは、次の週が明けてからだった。
図書委員の仕事から帰った私は、机の上に一通の手紙が置かれているのに気づいた。
少し角ばっていて、ごつごつした字…誰からの手紙か、すぐにわかった。




この前は手紙をありがとう。


正直、星乃さんから修学旅行の行き先を聞いたときは驚いた。
うちの学校も大幌山。
しかも、時期も一緒。
こんな偶然があっていいのかな、って気持ちでいっぱいです。
もし…だけど、一緒のホテルだったらいいな。
そのときはまた話したい。2人っきりで。


星乃さんも、体には気をつけて。
それじゃ。


相原光一




ほんの数行の手紙。
ちょっと無骨な感じだけど、それは彼の性格だから仕方ない。
何より、彼から手紙が来ること自体が嬉しかった。
クリスマスに、彼に会えるかもしれない…。
修学旅行に行く嬉しさより、彼に会えるかもしれないという不確かなものへの期待のほうが大きかった。


++++++++++


「へー、それはすごいじゃない」
星乃さんに手紙を出したあと、僕はカフェに向かい那奈さんに状況を話した。
「まだ『会える』って決まったわけじゃないですけどね」
「そうね。でも、『スキー場で運命の再会!』なんて最近はドラマでもやらないわよ」
「あはは…」
カウンターに肘をついて、人さし指で円を描く那奈さん。
少しご機嫌斜めの様子だ。
「クリスマスイヴに2人でスキー場か…憧れるわね」
「那奈さん!」
「ふふっ、冗談冗談」
那奈さんにからかわれていると、カランカランとドアの鈴の音が鳴った。
「いらっしゃ…」
僕は振り返った先に見えた人の姿に言葉を失った。
(ま、摩央姉ちゃんっ…!)
僕は慌ててカウンターの奥にしゃがみこみ、姿を見られないようにした。
「コーヒーのうんと薄いやつ、1つ」
「かしこまりました」
カウンターの向こうから聞こえてくる摩央姉ちゃんの声。
ここでバイトしてると知られたら、学校に行けなくなる…。
恐れる僕の胸中を刺激するように、革靴の足音がコツコツと音を立てて近づいてくる。
「光一、そこにいるのわかってんのよ」
(え…)
「顔ぐらい出したらどうなの?せっかく幼馴染が来てるんだから」
真上からの視線を感じる。もう逃げられない。
恐る恐る顔を上げ、三つ編みの影を確認する。
「やっぱり光一だ」
意地悪そうに笑みを浮かべる年上の幼馴染。
「摩央ちゃん、そのへんにしといてあげたら?」
「そうね。あんまりいじめるとかわいそうだし」
那奈さんは目配せしながら、出来たてのコーヒーをカウンターに置いた。
でも、どうしてこの2人が仲良しなんだ…?
「2人はどうして…?」
「私と摩央ちゃんは美容室友達だから。ね?摩央ちゃん」
「うん。でも意外だったわ。那奈さんが光一と知り合いだったなんて」
「だって同じ場所で働いてるんだから、知らないはずないじゃない?」
「それもそうね」
那奈さんと話す間にも、僕のほうをチラチラと見る摩央姉ちゃん。
僕を見る視線が突き刺すように痛い。
「で、彼女とイヴに会うんだって?」
「ど、どうしてそれを?」
「さっきから聞いてたわよ?店の外まで丸聞こえだったんだから」
店の外に聞こえていたとは。
こっぱずかしくってその場から逃げ去りたかった。
「で、でもまだ決まったわけじゃ…」
「言い訳無用!もうあんたがすることはわかってるでしょうね?」
身を乗り出して詰問する摩央姉ちゃん。
ヘタなことを言ったらぶっ飛ばされる…。
鬼気迫る表情に、僕はたじろいだ。
「わ…わかってるよ」
「それならよろしい。摩央チェックのおかげね」
「摩央チェック?」
那奈さんが興味深そうに聞いている。
「そう。光一が『いいオトコになりたい~』なんて言い出したものだから、ちょっとね」
摩央姉ちゃんは那奈さんに「摩央チェック」のことを熱弁している。
その間に、僕はそろりとカウンターから離れようとした。
「どこ行こうとしてるのかな?光一君」
(う…)
摩央姉ちゃんの感覚は鋭い。
首根っこを掴まれて幼馴染の前に座らされた僕は、コーヒーが冷めても口にしない目の前の人にさんざん説教された。




修学旅行に向けて話し合いが続いた11月が過ぎ、12月を迎えた。
期末試験を控えて、僕たちは図書室で集まって勉強することにした。
図書委員になった僕を気遣って、班のメンバーが図書室に集まってくれた。
「相原、これ教えてくれよ」
「ちょっと待ってくれ…これは、こうっと」
星乃さんに追いつこうと頑張った勉強が、いつのまにか友人関係で役に立っていた。
そのかわり。
誰もいないカウンターに、クラスメートが群がるという光景。
異様な空気を放つこの場所に、誰も近づこうとはしなかった。
「期末が終わったら、みんなで買い出しに行かないか?」
図書室での勉強を終えて、ロッカーに向かう道中。
デパートに買い出しに行くことをみんなに提案した。
「賛成!」
「俺も!」
「どうやら決まりだな、相原」
「ああ」
期末が終わってからの楽しみをまたひとつ作り、みんなそれぞれの帰路についた。


**********


秋が過ぎ、底冷えのする日が続くようになった。
色を落とした枯れ木が外の風景を占めるようになっている。
外は寒い。けれど、私の心は燃えていく一方。
彼に会えるかもしれない、という期待はいっそう膨らんでいった。
「星乃さん、どうしたの?」
「あ、有森さん…」
「ずーっと向こうの空ばっかり見てるから」
「あ…すみません」
勉強のために図書室に来ている先輩に気づかれた。
「何か考え事?」
「はい、ちょっと…」
「もしかして、恋わずらい…とか?」
「…はい」
「この時期だものね。仕方ないわ」
うっすらと笑顔を見せながら、有森さんはカウンターに寄りかかった。
「有森さんは好きな人はいないんですか?」
「いるわ。ずっと遠くにね」
ずっと遠く…私と同じ。
「その人とは、お付き合いしてるんですか?」
「……」
先輩は私の質問を聞くと、視線を外して外の景色をぼんやりと眺めた。
(私、悪いこと訊いちゃった…)
「ごめんなさいっ」
「えっ?」
「あ、あの…私、悪いこと訊いちゃったかなって」
「ううん、いいの。私の片想いだったから」
(……)
切なくなって、言い訳することをやめた。
「で、あなたは何を考えていたの?」
「実は…」
先輩の気持ちを知って、心が痛む。
だからといって、訊かれたことに答えないのもなんだか不自然な気がした。
私は今の状況をありったけ先輩に話した。
「そっか、修学旅行の行き先が一緒なんだ…」
「はい…」
「会えるといいわね」
「はい…」
自分は辛い思いをしているのに、私には笑顔を見せてくれる。
先輩のことを考えたら…複雑な気持ちが心を支配した。
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