キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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伝わらない想い~Time Limit~ -19-

片付けを終えて学校を出る頃には、もう外の街灯が点き始めていた。
「じゃあ、僕は星乃さんを送っていくから」
「気をつけて帰ってね」
「相原先輩、星乃先輩、さよなら!」
「お兄ちゃん、あんまり寄り道しちゃダメだよ?」
菜々ちゃん・なるちゃんと別れ、私たちは輝日南駅に向かった。
「すっかり遅くなっちゃったわね」
「そうだね」
歩きながら2人で暗くなった空を見上げる。
「肉じゃが、ほんとにおいしかったよ」
「ありがとう」
「なるみちゃんが言ってたよ。あれを学園祭に出すうどんと一緒に出したいって」
「そんな…私のなんて…」
「本当だよ。そうそう、なるみちゃんは『里なか』の一人娘なんだ」
「そうなの?」
「うん。あの子が一緒に出したいっていうくらいだから、星乃さんの腕前はすごいってことだよ」
「うん…ありがとう」
『里なか』といえば、評判のうどん専門のお店。輝日南にいたころよく家族で食べに行った。
まだ子どもだったけれど、うどんもだしもおいしかったことは覚えている。
「どうせなら、学園祭でも食べたかったなぁ…」
彼は小声で呟いた。
「うん…」
(学園祭…か…)
彼と一緒に過ごす最後のチャンス。
もう少しで、彼とは一緒にいられなくなる。
「星乃さんは、学園祭ってどうするつもり?」
唐突に彼は学園祭の話を切り出した。
「まだ、何も決めてないわ」
「じゃあ、一緒に回らない?」
「えっ…!?」
彼から学園祭の誘いをもらった。
驚いたけれど、私は1つしか答えを持っていない。
「うん、私も一緒に行きたいって思ってたから」
「そっか。よかった」
ひとつため息をつくと、彼は立ち止まった。
「どうしたの?」
「星乃さん、少しだけ…いい?」
「うん、いいけど…」
立ち止まったのは輝日南駅のもう目の前。
通勤ラッシュでスーツを着た人たちが次々と私たちとすれ違ってゆく。
「星乃さん」
「何?」
「キス…させて欲しい」
「え…でも、人がたくさん…」
「大丈夫、目立たないようにするから」
「うん…」
相原君がしたいなら…私は彼の言葉を信じるだけ。
改札を抜ける人の死角になるように、大きな柱の陰に隠れる。
光のほとんど当たらない空間で私は柱に背中ごともたれかかり、彼の顔を見上げた。
彼の手は私の肩に乗せられていて、キスまでは秒読み。
その手に力が入り、彼の顔が近づく気配を感じると、ゆっくりと瞼を閉じた。
「んっ……」
唇が重なる。彼の吐息が私の頬をくすぐった。
彼は唇を重ねたまま、離れようとしない。
目立たないところにいるはずなのに「誰かに見られている」という気持ちが唇を刺激する。
「相原君…そんなに長く…」
「ご、ごめん…」
恥ずかしさが頂点に達して、これ以上耐えることはできなかった。
でも、彼の切なそうな表情が私の心に何かを訴えかけていた。
そして彼は、キスの理由を話し始めた。
「肉じゃがを食べて…思ったんだ。星乃さんともっと一緒にいたいって」
「相原君…」
「星乃さんを困らせることはわかってる。でも、自分の気持ちに嘘はつけない」
「……」
彼の瞳から、かすかに光るものが見えた。
「相原君…涙が…」
「あ…ゴミでも入ったのかな」
目を掻きながら作り笑いを浮かべる彼の顔は、どことなく引きつっていた。
…彼の気持ちに応えきれない自分が、悔しい。
「本当にごめん…」
「ううん、悪いのは私だから…」
「どうして?」
「私が転校することを言わなかったら、相原君にこんな想いさせなくて済んだのに…」
「星乃さん…」
私のせいで…自分を責めることしかできなくて、感情はもう歯止めが利かなかった。
初めて、悔しくて涙を流した。
「星乃さん…そんなに自分を責めないで欲しい」
「でも、でも…」
「僕は、星乃さんと最後に時間まで一緒にいられたら、それでいいから」
「あ……」
彼は泣きじゃくる私を強く抱きしめた。
「こうして2人でいられたら、僕はそれでいいんだ…」
「相原君…」
人目を憚らず、もう一度…今度は私から唇を重ねた。
流し続けた涙は、いつの間にか頬を伝う前に乾いていた。
「…星乃さん」
「何?」
「…ありがとう」
「ううん…学園祭、楽しみにしてるわ」
「僕もだよ」
余韻に浸りながら、私たちはお互いの家路へと向かった。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
『アマガミ』の二次創作もぼちぼちと。


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