キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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伝わらない想い~Time Limit~ -18-

次の日も私は時間を見つけて学校を散策した。
やっぱり、どこに行っても学園祭の準備に追われている。
時折聞こえてくる笑い声に羨ましさを感じながら、私は記憶の引き出しに次々と学校の風景を詰め込んでいった。


家庭科室を通り過ぎようとすると、中から声が聞こえた。
「………ちゃん、この新作どう思う?」
「なかなかいけると思う」
「先輩は、どうですか?」
「僕もいけると思うなぁ」
(え…この声…)
聞き覚えのある声に、耳が反応した。
気になった私は、目立たないようにドアの端から中の様子を見てみることにした。
「先輩、本当ですか?」
「うん、僕はこういうの好きだから」
「やった!」
1年生らしい女の子が2人、男の人を囲んで喜んでいる。
(何だか楽しそう…)
少し口元を緩ませていると、中にいた男の人と目が合った。
(あっ…)
やっぱり相原君だった。私に気づいた彼は2人に何かを言って、ドアに近づいてきた。
「星乃さん」
「相原君…ごめんなさい」
「気にしないでいいよ。いつからいたの?」
「さっき来たところ。何してたの?」
「いま、新作のうどんの試食をやってるとこなんだ。よかったら食べない?」
「そうなの?でも私…」
いいからいいから、と彼は私の手を取り、中へと連れて行った。
「じゃあここに座って」
「あ、うん…」
彼に促されるまま椅子に座る。目の前にはどんぶりとお箸が用意してあった。
彼はキッチンに立っている2人を振り向かせ、紹介を始めた。
「じゃあ紹介するよ。星乃結美さん。僕のクラスメートなんだ」
「はじめまして!」「はじめまして!」
2つの元気のいい声が部屋にこだまする。
「キッチンのそばにいるツインテールの子が菜々。僕の妹なんだ」
「相原菜々です。よろしくお願いします」
「で、うどんを茹でてるのが里仲なるみちゃん。菜々のクラスメートなんだ」
「里仲なるみです。うどんの感想、あとで聞かせてくださいね。あ、菜々ちゃん、それ取って!」
キッチンが少し慌ただしくなったところで、彼は私の隣に座った。
「菜々ちゃんとなるちゃん、元気いっぱいね」
「そうなんだよ。2人に会うと僕のほうが圧倒されるんだ」
苦笑いを浮かべる彼を見て口元が緩む。
「でも、どうして相原君と妹さんが?」
ちょうど茹で上がったうどんを持ってきたなるちゃんが事情を説明する。
「実はうどん研究会の子が2人とも今日はいなくって…それで菜々ちゃんと先輩に味見をお願いしてたんです」
「味見というより毒味かもしれないけどね」
「先輩、何か言いました?」
「い、いや、なんでもない」


「あ、おいしい」
だしをひと掬いしてみると、感想が自然と口から出た。
「本当ですか!?」
「うん、いりこのだしが効いててとってもおいしいわ」
「あ、わかっちゃいました?」
「すごーい!どうしてわかったんですか?」
なるちゃんは照れ笑いをして、菜々ちゃんは目を丸くして私を見つめる。
「うん、私…よく料理してるから。いりこのだしもよく使うのよ」
「そうなんですかぁ」
感心する2人の横から、相原君は私に声をかけた。
「星乃さん、料理得意って言ってたよね?」
「うん。でも、どうして?」
「何か作ってもらいたいな、なんて思ってね」
「え、でも…」
「大丈夫です。家庭部で使ってるものは使っても問題ないですから」


思わぬ展開で料理をすることになった私。
『また星乃さんのお弁当が食べたい』―――あの時の『また』が、違う形で実現した。
(どうしよう…)
何を作るか考えながら、準備室にあったオレンジのエプロンを借りて身につけた。
食材と調理器具がキッチンを囲み、出番を待っている。
相原君は私を手伝うため、流しで待っている。
(じゃあ、あれを作ろうかな)
ひと通り食材を見て、使えそうなものをまな板に乗せ、適当な大きさに切っていく。
「相原君、その鍋…取ってもらっていい?」
「わかった」
小さめの鍋をコンロに乗せ、火をつける。温まったところで鍋に油を引き、鍋全体に伸ばす。
「何作るつもり?」
「それはできてからのお楽しみ」
油の上にお肉を乗せ、炒めようとしたその時。
「熱いっ」
「大丈夫?」
油が弾けて、私の指に飛んできた。
冷やさなきゃ…と思って火を弱め、流しに向かおうとすると、彼が私の腕を取る。
「指、貸して」
彼は油の飛んだ部分を軽くキスするように口に含んだ。
(あ…)
私の指が、彼の口に…私は恥ずかしくて下を向いていた。
時々舌の先が這っているのを感じると、くすぐったくて余計に恥ずかしい。
「よし、これで大丈夫」
「あ、ありがとう…」
「気をつけてね」
「うん」
私は相原君が冷やしてくれた場所に自分の口を近づけ、もう一度念入りに冷やした。
そして頬の熱さを自分で感じながら、コンロの火を元に戻した。


コンロの前に立っている間、指に彼の舌の感覚がずっと残っていた。
思い出すとくすぐったくて恥ずかしくて、彼がすぐそばにいるのも忘れて一人で照れていた。
「はい、お待たせ」
「あ、肉じゃがですね?」
「すごーい!」
肉じゃが…私の得意料理。
それを一度、彼に食べて欲しかった。迷ったけれど、その理由で私はこのメニューを選んだ。
「いただきまーす!」
3人が同時に肉じゃがを口に運ぶ。
「おいしいですっ!」
「おいしい!」
「よかった…」
菜々ちゃんとなるちゃんには気に入ってもらえた。
彼の感想は…?気になって、相原君の方に目を向ける。
(えっ…)
彼の器の中は、ほとんどなくなっていた。
「星乃さん、やっぱりすごいよ」
「ううん、私なんか…」
「こんな肉じゃがなら、毎日食べたいくらい」
「そんな…」
繰り返し彼から褒め言葉をもらった。
『毎日食べたい』…彼からこんな風に言ってもらえて、嬉しかった。
「ごちそうさまでした」
4人で手を合わせ、一緒に後片付けをした。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
『アマガミ』の二次創作もぼちぼちと。


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