キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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伝わらない想い~Time Limit~ -17-

その日の放課後。
離れる前に輝日南高校の風景を目に焼き付けておきたくて、私は校内を散策することにした。教室、渡り廊下、音楽室や理科室…どこを回っても、誰かが学園祭の準備をしている。
その光景を目にした私は、自然と学園祭…そして彼のことを意識していた。
(学園祭…相原君と一緒に回りたい)
「星乃さん」
「えっ?」
校庭に出ると、後ろから私を呼ぶ声がした。
「どうしてここにいるんだい?」
「あっ、柊君…」
「誰かさんが星乃さんのことを探してたよ。図書室にいないって」
誰かさん…まさか、相原君が私を探してる?
「…と言ってるうちに追いついたみたいだな」
正面から、彼は息を切らしながらこちらに向かってきた。
「柊、速いって…」
「君が遅いだけさ」
「それはないだろ」
「じゃあ、一緒に走って出たのに何故こんなに差があるんだ?」
「う…それは…」
「…クスッ」
二人のやりとりがおかしくて、つい吹き出してしまった。
「ほら、星乃さんが笑ってるじゃないか」
「そんなこと言われたって…」
「じゃあ、俺は戻るから。楽しんでこいよ、相原」
「ちょ、柊っ…!」
相原君を残し、柊君は去っていった。


「……」
「……」
二人になった途端、どこからともなく落ち着かない空気が漂い始める。
転校のことを話したせいか、彼は少し距離を置いているように見えた。
「…星乃さん」
「何?」
「どうして…ここに?」
彼の声がまるで初めて話すようにどことなくぎこちない。
「転校する前に学校の風景を目に焼き付けておきたくて、いろいろ見て回ってたの」
「そっか…」
彼は虚ろな目をしながら俯いた。
(やっぱり、転校のこと…話さなかったほうが…)
「一緒に、回ってもいい?」
「えっ?」
「少しでいいから、星乃さんと一緒にいたいんだ」
「相原君…」
『一緒にいたい』…彼の言葉に心を動かされる。
「ダメ、かな?」
「ううん、そんなことない。私も相原君と一緒にいたいから」
そして、私たちは校庭から噴水へ、噴水からテラスへと移動した。


最後に行くつもりだった屋上に着いたところで、私たちは休憩をとることにした。
「やっぱりここの景色は綺麗だなぁ…」
「ほんとね…」
二人で、沈んでゆく夕日に照らされる街を眺めていた。
ふと横を向くと、彼の横顔も夕日に照らされている。
(相原君…)
私の視線に気づいた彼が、私のほうを向いた。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもないの」
「そっか…」
すると彼は、週末のことを切り出した。
「この前は、あんなこと聞いてごめん」
「ううん、いいの」
本当は彼の気持ちに応えたかった。けれど、言葉では応えられなかった。
「キス」という形でしか応えられなかった。
「星乃さんが転校するって聞いて、僕はあの後ずっと考えてたんだ。どうすれば、星乃さんが喜んでくれるかって。どうすれば、星乃さんの笑顔が見られるかって」
「相原君…私は…」
「普通でいてくれたらいい、でしょ?」
「あ、うん…」
「だから、普通でいようと思ってる。それと…学校にいる間は、できるだけ一緒にいたいんだ」
「え…」
「ダメかな?」
『少しでいいから、星乃さんと一緒にいたいんだ』―――さっきの言葉の本当の意味を、初めて理解した。
転校するまで、彼とたくさん一緒にいられる。それは転校する私への餞…かもしれない。
「ううん、嬉しい…」
嬉しくて、涙が出そうだった。
(あとは、学園祭の約束を取らなきゃ…)
「あのね…」
「何?」
「えっと…ううん、やっぱりいい」
のど元まで出かかった言葉は、飲み込むことにした。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
『アマガミ』の二次創作もぼちぼちと。


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