キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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伝わらない想い~Time Limit~ -16-

重ねていた唇が離れる。それとほぼ同時に、彼は私を抱きしめた。
「星乃さん…」
「ごめんなさい…」
あらゆる感情が涙となって目を覆い、間近にある彼の顔を見ることができない。
それでも、彼の胸の鼓動を聞いて、どこか安心している私がいる。
彼に抱きしめられて、どこか安心している私がいる。
彼の存在の大きさを知って、切なさはいっそう増していく。
止まることなくこぼれ落ちる雫は、また彼の胸元を濡らしていた。
「いつ…転校するの?」
「お母さんが、学園祭が終わるまでは、いていいって…」
「学園祭って…もうすぐじゃないか…!」
「うん…」
「じゃあ、この前のはまさか…」
「…うん」
―――叶わぬこととわかっていながら、私は彼を追い求めた。
一人で現実に立ち向かおうとして、何度も打ちのめされて、一人ではどうしようもなくなって…。
誰かに頼りたかった。
誰かに、私を支えて欲しかった。
そしてあの時…初めて誰かを頼った。
その「誰か」が、他でもない相原君…その人だった。


…相原君と一緒にいたい。


…相原君と離れたくない。


彼の腕に抱かれながら、心の中で何度も何度も繰り返した。
「星乃さん」
「何?」
「僕は、どうしたらいい?」
「…私は、普通でいて欲しいの。いつもの相原君を見たいから」
「わかった」
そろそろ行かないとね、と彼に言われ、気の進まない足を引きずりながら駅へと向かった。
みんなには転校のことは内緒にして欲しい…帰り際、私は彼にそう伝えて電車に乗り込んだ。


彼に転校のことは伝えた。けれど、まだ大事なことを伝えなければいけない。
言葉では、まだ私の想いを伝えていない…。
(彼と離ればなれになる…)
(私、このまま何も伝えられないのかな…)
「どうかされましたか?」
花壇に座って花を世話しながらぼんやり眺めていると、後ろから澄んだ水のような声が聞こえてきた。
「…え?」
「何か、随分深刻な顔をなさっていましたので…」
顔を上げたその先には、心配そうな顔で私を見つめるショートボブの女の人がいた。
「あ、あなたは…祇条…さん」
祇条深月さん。輝日南では有名な由緒正しい家系に生まれたお嬢様、と聞いた。
祇条さんが花壇に来ることは前から知っていたけれど、こんなときに会うことになるなんて…。
「どこか、体の具合でもお悪いのですか?」
「いえ…そういうわけじゃないんです…」
「では、何かお悩み事ですか?」
「え、ええ…でも、本当になんでもないんです」
やっぱり…というような顔で祇条さんは私の顔を見つめた。
「でも、どうしてそんなこと…?」
「このお花たちを見ていると、そう感じるんです。以前は優しい感じだったのに、最近は少ししょんぼりしているようで…」
祇条さんに、私の心を見抜かれていた。
お花には、その花のお世話をしている人の感情や性格が表われるんですよ―――祇条さんは優しく私に語りかけた。
「私でよければ、話していただけませんか?」


「恋わずらい…ですね」
私の話を一通り聞き終えた祇条さんは、一言ポツリと呟いた。
「祇条さんは、こんなふうに悩んだこと…?」
「あいにく私にはお父様が決められた結婚相手がいますので、その方以外には考えられません」
「ご、ごめんなさい…」
「あ、あなたが気になさることじゃありません。でも、あなたのように悩んでみたいものですね」
祇条さんは微笑みながら私を見つめた。
「ところで学園祭には、一緒に行かれないのですか?」
学園祭…まだ、その日の予定は決まっていない。
彼から誘われているわけでもない。
「学園祭なら、あなたとお相手の方と二人きりになれることもあると思いますよ」
「二人きり…」
「一日、二人でお話されたらいかがですか?そういう機会はそんなにありませんしね」
祇条さんの言うとおりだった。
学校で二人きりになれる時間は限られている。まして、来週で離ればなれになるのだから…。
「ありがとう、祇条さん」
お礼を言うとすぐ、1時間目の予鈴が鳴った。
「そろそろ時間ですね」
「あ、ごめんなさい…話が長くなっちゃって…」
「気になさらないでください。こうやってお話しするのも楽しいですから」
それでは失礼します…会釈を交わして、祇条さんは校舎へと消えていった。
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Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
『アマガミ』の二次創作もぼちぼちと。


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