キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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伝わらない想い~Time Limit~ -14-

『言葉で伝えるのは勇気がいることだけど、頑張って』
川田先生と話した後、私はふと摩央さんの言葉を思い出した。
時間がない…ただそれだけしか考えていなかった私は、彼との距離を埋めることだけを考えてきた。でも、たとえ距離を近づけたとしても、彼に気持ちを伝えなければ何もかもが水の泡…。
こんなことにさえ気づかなかった自分が、恥ずかしかった。
そんな私に、先生は摩央さんの言葉の真意を教えてくれたような気がした。
そしてまた、先生の言葉は私の中でくすぶっていたものを露にした。
私にとっての幸せ…それは、好きな人と一緒にいること―――忘れていた原点を、先生は思い出させてくれた。
時間がないというのはただの言い訳。時間があるかないかは私次第。
迷っていても、時間が過ぎるだけで何の解決にもならない…迷い続けて、ようやく決心をつけた。


そして、相原君との約束の日―――。
早起きしてお弁当を用意する。彼の好き嫌いを聞いているから、できるだけ嫌いなものは省いておいた。
(これで完成ね!)
彼の喜ぶ顔を、私は見たかった。
キッチンを片付け、背伸びして買った白地の水着と2人分のお弁当を鞄の中にしまう。
お気に入りの紺のノースリーブとスカートに身を包み、めったに履かないかわいいサンダルを足元に。
2度とないかもしれないデート…少しくらい、背伸びもしたかった。
「行ってきまーす」
服と鞄のチェックを終えると、彼との待ち合わせに向かった。
行きの電車に乗ると、カップルらしい2人組が停車駅で次々と電車に乗り込んでくる。手を繋いだり、腕組みをしたりして、座席に座っている私の目の前を仲良さそうに通り過ぎてゆく。
(いいなぁ…)
その光景を眺めていると、川田先生の声が耳元で再生された。
『男の子とは積極的にスキンシップを取ること。それが第一の関門ね』
スキンシップなんてしたことないし、恥ずかしくて無理だと思っていた。
(こんなふうにしたらいいのね…)
カップルの姿を見て、少しだけ勇気が沸いてきた。
輝日南駅に着くと、もう待ち合わせの10分前。少し経って、相原君は自転車で迎えに来てくれた。
「ごめん、待った?」
「ううん、私も今来たところだから」
「よかった。じゃあ、行こうか」
「ええ」
駅を出ると、自転車を押す彼の左腕を取り、さっきのカップルの真似をして腕を組んでみた。
「ほ、星乃さん?」
「な、何?」
「どうしたの?腕なんか組んで」
「え…うん、ちょっと」
私の行動にびっくりしたように、彼の声は上ずっていた。
私も恥ずかしくて、上手く舌が回らない。彼の顔を真っ直ぐに見ることもできなかった。
「…何だか、カップルみたいだね」
「そんな…恥ずかしい…」
勇気を出したとはいっても、自分の頬の温度が上がりっぱなしなのが触らなくてもわかった。
そのかわり、プールに着くまでのちょっとの間だけ、彼と恋人気分を味わうことができた。


「じゃあ、プールサイドで待ってるから」
「わかったわ」
更衣室前で彼と別れ、私はロッカーに向かった。
初めて着る水着だから、似合っているか不安。
店員さんには「似合ってますよ」なんて言われたけれど、彼の前だと緊張して気持ちが悪い方向に行ってしまう。
(大丈夫かな…)
不安に駆られながら、更衣室の出口からプールサイドに抜ける。出た先には、彼が先に着替えて待っていた。
「相原君…この水着、どう?」
考えていたことがそのまま口に出る。
「うん、よく似合ってる」
「本当に?」
彼の言葉を確かめるように、私はもう一度訊いてみた。
「うん、本当だよ」
「よかった…」
彼の言葉を聞いて、私は胸をなでおろした。
「じゃあ、泳ごうか」
「うん」
彼は流れるプールや波のプールのある場所に誘った。
泳げない私のために、彼は泳がなくても大丈夫なところを選んでくれた。
「ここ、行ってみよう」
彼が誘ったのは、このプールでは有名なウォータースライダー。
「あれ、乗ろうよ」
「えっ…大丈夫?」
「大丈夫、僕が支えてるから」
「うん、わかった」
私は前に、彼は私を支えるように後ろについた。
「じゃあ、行くよ!」
彼の掛け声と同時に私たちは流れる水の中へ。
流れの速さに比例して、私たちの体もスピードに乗っていく。
水しぶきを飛ばす何ともいえない爽快感が体を包む。思わず彼と密着しているのも忘れるくらい、気持ちがよかった。
ふもとのプールが近くなると、傾斜が緩くなってスピードも緩やかになる。
「ちゃんとつかんでてね」
「わかった」
それでもスピードに乗った私たちは、突っ込み加減でプールへと一直線に向かっていった。


ザッパーン!!


大きくしぶきを上げて、私たちはプールの中に沈んでいった。
「気持ちよかったー」
「うん、すごかったわね」
プールサイドに向かいながら彼と感想を言い合う。
でも、なんだか胸の辺りが少しおかしい…。
(えっ…)
プールから上がろうとして、私は異変に気がついた。
後ろに手を回すと、水着の後ろの紐がほどけていた。
「きゃあっ!」
ほどけ切ってしまわないように、急いで手で前を押さえる。
悲鳴を聞いた人が私をチラリと見るのがわかった。
「星乃さん、大丈夫?」
先に上がった相原君が心配そうに私を見る。
「水着の紐が、ほどけちゃったみたい…」
「えっ…」
「だから、更衣室へ…」
ここでほどけてしまったら、彼に見られてしまう。しかも彼だけじゃなく、他の人にも…。
早く更衣室で結びなおしたかった。そんな私に、彼はこう言った。
「ここで結んだほうがいいよ」
「でも…恥ずかしい…」
彼の意図が、いまいちつかめない。
「更衣室までは距離があるから、ここで結んだほうが恥ずかしくないと思うんだ」
「う、うん…わかった…」
手が塞がっている私を見て、彼は「結んであげるよ」と言ってくれた。
…でも、彼はなかなか紐に手をかけない。振り向くと、彼の頬が見てわかるほど赤くなっていた。
「恥ずかしいから早く…」
プールサイドに前のめりの格好の私は、この状態から早く逃げ出したかった。
やっと手を動かした彼は、垂れていた紐を元のように結びなおしてくれた。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
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