キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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伝わらない想い~Time Limit~ -13-

家に帰ると、机の上に無地の封筒が置いてあった。
「結美へ」とメモ書きが添えられたその封筒は、固く封が閉じられてある。
きっと…大事な書類。
私にとって大事な書類となれば、あるのはただ一つ。
(はぁ…)
一人で溜め息をついていると、1階で電話が鳴った。
(この時間に誰だろう…)
「もしもし、星乃です」
「星乃さんのお宅ですか?私、輝日南高校2-Aの…」
「あ、先生。星乃です」
担任の先生からの電話だった。
「早速、例の件だけど…」
「はい…はい…わかりました」
先生は、明日の朝一で職員室に来るように私に言った。
『書類を忘れずに持ってきて欲しい』
受話器を置いた私は、先生の一言で自分が転校することを改めて実感した。
いよいよ先生に言わなきゃいけない日も…来てしまった。


私の思いとは裏腹に、着々と転校への道筋は整えられていた。


翌日、私は先生に書類を渡すためにいつもより早く家を出た。
朝日の眩しい通学路を抜け、誰もいない教室に鞄を置いて職員室に向かう。
先生に言われるまま応接用のソファに腰を下ろし、先生に書類を渡す。
「来週までか…寂しくなるな」
「すみません…」
「君が謝ることじゃないよ。家庭の事情ってものがあるんだから」
封筒を開けながら、先生は落ち着いた口調で私と話していた。
「そういえば、君の友達にはこのことは言ったのか?」
「いや…まだ、です」
「そうか。こういうのは早く言っておいたほうがいいぞ。後で何かと大変だからな」
「はい…」
話しながら書類を一通り確認した先生は、スーツのポケットに封筒をしまいこんだ。
別れ際、「まじめな君なら転校した先でも大丈夫だよ」と先生は励ましてくれた。
先生に一礼して教室に戻ろうとすると、前から川田先生が近づいてくるのに気づいた。
「あら、星乃さん」
「川田先生…」
「表情が暗いわよ。どうかしたの?」
川田先生は私を心配そうに見つめた。
「何かあるのなら私に言って。力になれるかもしれないから」
「はい…」
川田先生の相談は、クラスでも評判だった。何か相談事があると、先生のもとに駆け込む女の子も少なくない。
もしかしたら私も、先生に助けてもらえるかもしれない―――私は先生にすべてを打ち明けた。
「先生…先生は、友達に大事なことを話すときってどうやって話しますか?」
「そうね…私なら、友達だけで集まれる場所に集まって、そこで話すかな」
「そうですか…」
「でも、どうして?」
「実は私…来週で転校することになって…」
「えっ…」
先生は目を丸くして、私を見つめた。
「す、すみません…びっくりさせちゃって…」
「い、いいのよ別に。そっか、転校するのか…」
平静を装おうとする川田先生を見て、私は胸が痛んだ。
「すみません…」
「そんなに謝らなくてもいいわよ。でも、人によっては私みたいな反応をするってことも頭に入れておいてね」
「はい…」
「私はずっと転校される側だったけれど、やっぱり仲のいい子と離れてしまうのは淋しかったわ。特に転校する子が自分の好きな人だったりすると、余計にね」
「そう、ですか…」
(やっぱり…)
その顔はもしかして…という感じで先生の鋭い眼差しが私に向けられる。
「そっか、好きな人に話さないといけないんだ…」
「え…」
顔に書いてあるわよ、と先生は微笑みながら言った。
「もうその人に想いは伝えたの?」
「いえ、まだです…」
そう、と状況を飲み込んだ様子の先生は、私の耳に顔を近づけた。
(………)
(…ええっ!)
川田先生のアドバイスは、「そんなの無理…」とその場で言いそうになるくらい、私の性格では難しすぎるものだった。
「想いを伝えるのは大変な作業よ。離ればなれになるならなおさら。でも、そこを乗り越えたら、幸せが待っているんだから」
耳打ちを終えた先生は私に釘を刺すように言うと、厳しい表情を和らげ、笑顔を見せて去っていった。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
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