キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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伝わらない想い~Time Limit~ -9-

「光一…!?」
女の人の呼ぶ声に、相原君は渋い表情を見せた。
(いま、光一って…)
女の人の言葉に動揺する私。どうして彼の下の名前を…?
指を差したお互いが目を合わせた状態。でも、そこに言葉のやりとりはない。
そして一人だけ蚊帳の外の私には、置かれている状況がよくわかってなかった。
「光一?光一なのね!」
女の人は確認するように繰り返した。
すると彼はベッドに寝かせていた体を起こし、布団を剥いだ。
「星乃さん、ちょっと!」
少し間をおいて、彼は私の腕を握ってドアに向かって走り出した。
さっきまで寝ていたとは思えないほど素早い動きに、私は心も体もついていけない。
「ま、待ちなさいよ!…あいたっ」
私たちを追いかけようとした女の人は頭を抱え、ベッドの上でうずくまった。
(あ…大丈夫かな…?)
その姿を見て後ろめたさを覚える。けれど、彼の引っ張る力にはかなわなかった。
そのままドアを開け、廊下に飛び出した私たち。
彼は息切れを起こして、膝に手をついていた。私も息が上がっていた。
「相原君…大丈夫?」
「大丈夫…急に走っただけだから」
中腰を続けながら、彼は声も絶え絶えに私に顔を向けて口を動かす。
「どうしたの?突然走り出して…」
「いや、大したことじゃないんだ」
「え、でも…」
(あの人が「光一」って呼んでたこと…)
(気になる…けれど、聞いても…いいのかな…?)
「でも、何?」
「あ、ううん、なんでもないの」
遠慮しかけた私の心は、聞きたいことを喉の奥に飲み込ませた。


でも、彼に聞くはずだったことは後ではっきりと答えが出た。


昼休みのカウンター当番に当たっていた私は、いつものようにカウンターに座っていた。
すると、三つ編みをした上級生らしき女の人がカウンターに現れた。
「ねえ、昨日発売になったファッション雑誌、ない?」
「え?雑誌コーナーになかったですか?」
「それがないのよー。だからこうやってカウンターまで…ああっ!!」
(へっ?)
女の人は私を指差し、大きな声を上げた。
突然の大声に、図書室にいる人たちの視線がカウンターに集まる。
目の前で大声を出された私は、びっくり…するしかなかった。
「あの…図書室ではお静かにお願いします…」
「そんなこと言ってる場合じゃないわよ!」
「でも、ここは図書し…」
「そんなことはわかってんの!問題はそこじゃなくって」
(えっ…?)
声のトーンを落としているけれど、口調は明らかに荒かった。
「あ、星乃さーん」
タイミング悪く、お昼を済ませた相原君がカウンターを目指して歩いてくる。
その声に反応した女の人が、彼のほうを向いた。
「こーうーいーちーくーん」
急に声を変え、後ろ手を組みながら図書室に入ったばかりの彼の方へ一歩ずつ歩み寄る。
(「こういち」…ま、まさか…!)
「う…!」
後ずさりをする彼。
「今度は逃がさないわよ!待ちなさいっ!!」
「うわっ!」
2人は猛スピードで廊下に飛び出し、大きな足音を立てて消えていった。
ほんの数秒間の出来事に呆気に取られた私は、2人が出て行った後のドアをただ見つめていた。
そして、三つ編みのあの人が保健室の隣のベッドにいたあの女の人だとわかった。


しばらくして、2人は図書室に戻ってきた。
彼は女の人に襟を掴まれるように首をすくめ、女の人は勝ち誇ったように鼻歌を歌いながら私に近づいてきた。
よく見ると、彼の表情がげっそりとしているように見える。
「はい、コイツを返しに来たわよ」
「えっ?あ…はい」
(返す…?どういう意味だろう…)
条件反射で返事はしたものの、女の人の言葉に違和感を感じた。
「しっかり絞っておいたから」
「摩央姉ちゃん、その言い方はないだろ」
「あの時逃げ出したあんたが悪いんじゃない。今更何言ってんのよ」
(摩央…姉ちゃん…?)
2人の激しいやり取りはまだ続いていた。
でも、私は相変わらず置いてけぼり状態で、2人の関係がいまいち頭の中で整理できない。
「あの、すみません…」
「ここは図書室…って言いたいんでしょ?図書委員さん」
「あ、はい…いや、そうじゃなくて…」
言いかけて、慌てて言葉を直した。
「何?私にまだ言い足りないことがあるって言うの?」
「い、いや…」
女の人の放つ威圧感に圧倒されて、つい言いたいことを飲み込んでしまう。
それは私の顔に表れていたようで、女の人にすぐに気づかれた。
「んもう、じれったいわねー。言いたいことがあるなら言えばいいじゃない」
「は、はい…」
「素直でよろしい。じゃあ聞こうじゃない」
さっきまでの剣幕とはうって変わって、女の人は腕組みをしながらうっすらと笑みを浮かべている。
「あの、あなたは一体…?」
「私?3年の水澤摩央。光一とは幼馴染なのよ」
「そ、そうなんですか…」
「それがどうかした?」
「あの…何だか、2人は仲がいいな…と思ってたので」
「そりゃね。家だって目と鼻の先だし」
(幼馴染…そういうことだったんだ…)
謎は一気に解けた。
「まあ、昔はよく遊んだり『摩央姉ちゃんと結婚するー』って言ったり言われたりな仲だったんだけど―――」
「ま、摩央姉ちゃん、ここは図書室だから…」
止めに入る相原君を一度睨み付けて、女の人―――水澤さんは話を続けた。
「なのに光一ったら、同じ高校に入ったっていうのに、途端に冷たくなっちゃってさ…。しかもこんなカワイイ彼女作っちゃって…。つれない男ね」
「ま、摩央姉ちゃんっ!」
(か、彼女だなんて…)
彼が水澤さんにどこまで話したかはわからないけれど、話がだんだん大きくなっていることだけはわかった。
さらに水澤さんは「彼女」と言われただけでも恥ずかしい私の前で、畳み掛けるように赤面したくなるような言葉を並べた。
「いいじゃない、もうキスぐらいしたんでしょ?」
「摩央姉ちゃん、いい加減にしてくれよ」
「フフッ、ごめんごめん」
(キス…)
彼と水澤さんが話をするそばで、保健室の出来事を思い出す。
―――間近で見る彼の顔。近くで感じる彼の呼吸の音。そして、唇…。
「星乃さーん」
「は、はいっ」
彼の呼ぶ声が聞こえて、慌てて意識を現実に戻した。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
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