キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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伝わらない想い~Time Limit~ -8-

9月後半。この時期になると、夏らしい暑さも終わりを迎えていた。
かわりに感じるようになったのは、秋独特の涼しげな風。
そして、梅雨時のように何日も続けて降る秋雨。
この雨が、時間のない私たちを一気に近づけ―――そして皮肉にも突き放した。


その日は何かを予感させる、そんな雨だった。


前の日に降った雨の影響で、校庭での体育の授業は体育館に変更された。
体の調子があまりよくなかった私は、見学席で授業を眺めることにしていた。
体育教官室にいる先生に一言言って見学席のある階に上がった私は、男子の授業も見られるような場所に腰を下ろした。
こっそり彼の姿を追いかけよう…そう考えていた。
でも、授業の時間になっても、点呼が終わってからも、彼は現れなかった。
(さっきの授業はいたのに…どうしたのかな)
彼のことが気になった私は、授業のことより彼の居場所のほうを意識していた。
体は自然と動いた。階段を急いで下り、保健室に向かって走った。
もし何かあったとしたら、ここのはず…私の直感が、そう言っていた。


保健室のドアを開けると、ベッドを隠すカーテンがかかっていた。
手前を見ると、女の人が寝ている様子だった。
そこで奥に目を遣ると、ベッドのカーテンの隙間から制服のカッターシャツが見える。
ひょっとしたら、相原君じゃないか…静かに近づき、カーテンの隙間に目を近づけ、中を覗く。
…私の直感は正しかった。彼はベッドに横たわり、静かに寝息を立てて眠っていた。
(相原君…)
少し疲れたように見えるけれど、優しそうな顔をしていた。
大事じゃないとわかった私は、ベッドのそばにあった椅子を静かに引き寄せ、カーテンの内側になるように座った。
(『眠り王子』みたい…)
座りながら彼の寝顔を見て、ふと昔読んだ本を思い出す。
魔法によって無限の眠りについてしまった王子が、運命の人である姫にキスされることで目を覚ますという外国の説話。
そのシチュエーションに、彼と自分をダブらせてみる。
(王子様にキス…)
頭に浮かんだ「キス」という言葉が、校舎裏の出来事を思い出させた。
あの時の火の出るような恥ずかしさは、忘れられない。キスという行為に抵抗が生まれた。
けれど、彼と一緒にいる時間が増えたことで、私の気持ちは変わりつつあった。
物語のように、眠っている彼の顔にそっと自分の顔を近づけてみる。
近くなるにつれて、彼の呼吸する音がだんだんと大きくなる…。
(相原君の顔が…こんなに近くに…)
手のひらをいっぱいに広げたくらいまで顔を近づけた。もう少しで鼻に当たりそう…。
(キスって…こんな感じ、なんだ…)
「う~ん…」
間近で彼の顔を見て考えていると、隣のベッドから声がしてドキッとした。
(び、びっくりしたぁ……あっ)
顔を離してのけ反った拍子に椅子の足が浮いて、ガタッという音とともに私は床に尻もちをついてしまった。
勢いがあったせいで強く打ってしまって、すぐには立てないほど痛い。
(いたーい……)
その音で彼が寝息を止め、目を覚ましてしまった。
彼が音のした私のほうを向く。
「ほ、星乃さん…?」
まだ意識がはっきりしていないのか、彼は確認するように聞いてきた。
「ご、ごめんなさい…起こしてしまって…」
「い、いや…いいんだ」
それでも彼は怪訝な顔をしていて、私が保健室にいるという状況があまり理解できていない様子だった。
「ちょ、ちょっとあんた…」
隣のベッドからまた声がした。
「カーテンがこっちまで飛んできたんだけど…」
(えっ?)
見ると、カーテンは私が転んだ力で勢いよくレールを走り、彼のいるベッドの全体が見えるようになってしまっていた。
「ご、ごめんなさい!」
隣の人のベッドにまで飛んだことには全然気がつかなかった。
女の人に謝ると、相手の女の人は私の背中に向けて指を差し、驚いたような声を発した。
「あ…」
「あ…」
背後にいた相原君も同じ反応をしていた。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
『アマガミ』の二次創作もぼちぼちと。


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