キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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伝わらない想い~Time Limit~ -5-

この日の朝と同じようなやり取りは、それから何度もあった。
使いかけの教室の雑巾を全部洗っていたとき、破れかかった教室前のポスターを直そうとしたとき、教室を一人で掃除しているとき…。私が一人で当たり前のようにやっていたことを、彼はいつも褒めてくれた。時には手伝ってくれて、一緒に作業したりもした。
何かの魔法にかかったように、彼との距離が夏までとは比べようのない速さで縮まっていった。


2学期が始まって1週間が経った頃。
相原君に呼び出された私は、緑の茂る校舎裏に立っていた。
「ど、どうしたの?」
普段なら教室や廊下で話しているのに、彼はなぜかひと気の少ない校舎裏に私を呼び出した。
その彼は、私の目の前。緊張しているのか、少し顔をこわばらせている。
「星乃さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」
「何?」
「あ、あのさ…」
どことなく硬い口元の動き。見ている私も緊張する。
さらに次の言葉を言い出しかけて、飲み込むしぐさを何回も繰り返す彼。言葉のやり取りのない時間が過ぎてゆく。
(どう…したの…かな?)
私が間の空け方を異様に感じ始めた途端、彼は口を開いた。
「星乃さんって…キス、したことある?」
「え、ええっ!?」
突っ込んだ問いかけに不意を突かれた私は、思わず声が裏返ってしまった。
私のリアクションを見て、彼が慌ててフォローする。
「ご、ごめん!」
「え…あ…」
私が言葉に詰まるのを見た彼は、困ったような表情を見せた。
(キス…)
あまりに脈略のない彼の質問。しかも、キスのことなんて…。
顔の温度が急激に上がっていくのを感じた。
彼がこんなことを聞いてくるなんて思いもしなかった。恥ずかしくて、答えを口にするのも躊躇ってしまう。
でも、彼の困った顔は見たくない…。
「…したことない」
「えっ?」
恥じらいを抱えたまま答えを伝える。でも、彼には聞こえていなかった。
「キス…したこと…ない」
もう一度、彼に答えを伝えた。
「そうなんだ…。ありがとう、こんな質問に付き合ってくれて」
「ううん、いいの」
彼の困った顔を見るのは本意じゃない。けれど、羞恥心は隠しようがなかった。
「じゃ、じゃあ…私、先に行くわね」
恥ずかしさが限界に達して、彼の顔をまともに見ることができなかった。
その場から逃げ出すように私は彼の前から去り、教室に戻った。


(キス…か…)
お風呂上がりに洗面所の鏡に映る自分の顔を見つめる。そして、指で唇をなぞってみた。
キスと聞いて私が思い浮かべるのは、映画や恋愛小説で描かれるキス。それは挨拶のためだったり、愛情表現であったり、形はいろいろ。
でも、私にとってキスは遠い存在。ただうっすらと、「好きな人とする儀式のようなもの」という価値観が頭の片隅にちょこんと座っているだけ。
キスシーンでも濃厚なシーンになると目を覆ったり読み飛ばしてしまうような私には、彼の質問はあまりに刺激が強かった。
(明日からどうしよう…)
彼と会うことが、少しだけ怖くなった。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
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