キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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伝わらない想い~Time Limit~ -3-

「や、やあ…」
相原君は落ち着かない様子で私に声をかけてきた。
「こ、こんにちは…」
(彼が、こんなに近くに…)
落ち着かないのは私も同じだった。挨拶することひとつに不自由してしまう。全然話をしたことがない男の人…しかも彼と会話をする、という行為が内気な私の壁となって立ちはだかった。
「あ、相原君…」
「僕の名前、知ってたんだ」
「え、ええ…。だって、1年の時から同じクラスだったから…」
「そうだったね」
「う、うん…」
…緊張して次の言葉が出てこない。胸のドキドキが、彼に伝わりそうなほど激しく私の体に響く。
(あ…私、どうしよう…)
冷静になろうとすればするほど頭の中を駆け巡る彼への想いが、思考回路を遮断してしまう。思うように話せないもどかしさだけが口の中に残ってしまっていた。
「そういえば、星乃さんがどうして図書室に?」
止まってしまった回路を刺激するように、彼は私に話しかける。
「え…?」
彼の質問でフッと我に返った。
(私、図書室に何しに来てたんだろう…)
自分の立場を忘れて、彼のことばかりに意識を向けてしまっていた。
「あ…私、図書委員だから…」
「そうだったんだ…ごめん、気づかなかった」
「う、ううん…いいの。気にしないで」
彼は私が図書委員だということを知らなかった。
それは私にしてみれば、ある意味当然のこと。目立たないし、地味だし、内気で引っ込み思案で…。それに、彼とも同じクラスだったというだけで話をしたことがないのだから、お互いの情報なんて持ち合わせていない。
…でもやっぱり、彼に知っていて欲しかったという欲張りな気持ちが心のどこかに居座っていた。


「相原君は、図書室に何か用事があるの?」
私は落ち着かないなりに自分の仕事を思い出して、カウンターの椅子に座りながら彼に訊いてみた。
「え、いや…特に用事があるわけじゃなくて…」
「そうなんだ…」
やっぱり図書室には縁のない人なんだ…と思いながらふと視線を落としてみると、右手にハードカバーの本を持っている。
「相原…君」
「な、何?」
「その本、どうしたの?」
「えっ?」
慌てたように彼は手元に視線を向け、何かを思い出したような顔をした。
「この本、返しに来たんだった…」
ポリポリと頭を掻いて苦笑いを浮かべる彼を見て、心が和んだ。
一方で、彼は図書室とは無縁じゃなかった、ということがわかってホッとした私がいた。
「じゃあ、星乃さん、これ…」
彼は持っていた本をカウンターに差し出し、私はその本を受け取ろうと手を伸ばした。本に手を取った瞬間、彼の指が私の指に少し触れる。私の体温より、ちょっぴり、温かい。
(あ、私…何考えてるんだろう…)
ほんの一瞬指が触れただけなのに、胸のドキドキは加速するばかり。飛び出そうな胸の真ん中をずっと手で押さえながら、いつものように返却手続きを済ませた。
「え、えっと…手続き、終わったから」
「うん、ありがとう」
「…」
「…」
カウンターを挟んでお互いの顔を見合う。そこに言葉はなくて、ただ向かい合っているだけ。
無言の空間が生まれて、さっき口の中で感じたもどかしさがじわじわと蘇ってくる。
このまま何も話さなかったら、彼は私の前から立ち去ってしまう。彼とお別れしたら、次はいつお話できるかわからない。でも、気持ちだけがはやって何を話せばいいのかわからない…。
「あ、あのさ」
「何?」
突然、相原君は話を切り出してきた。
「これから、星乃さんに話しかけてもいいかな?」
「えっ…それって、お友達ってこと…?」
驚いた。彼からこんなことを言われるなんて、想像していなかった。
「い、嫌かな?」
「ううん、そんなことない。私、男の人のお友達っていないから…」
「そうなんだ…」
「それに私、目立たないし、地味だし…」
巡ってきたチャンス。でも、私で本当にいいのかわからず気後れがする。
「それでもいいんだ。星乃さんと話したいって思ってたから」
「本当に?」
うん、と大きく頷いた彼を見て、私の迷いはなくなった。
「じゃあ、これからよろしくね」
「ええ、こちらこそ」
よかった…と胸をなでおろす彼を見て、私も何故か安心した。
彼とお友達になれたことが、嬉しかった。
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Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
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