キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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伝わらない想い~Time Limit~ -1-

夏休みも終盤の8月下旬。
残っていた宿題を図書館で片付け、日の沈む頃に家に帰った私。
「ただいま」
「結美、おかえり。お父さんがちょっと話があるみたいだから、先にご飯食べて」
お父さんが私に話がある?一体なんだろう…。
親戚に何かあったのか、それともお父さんのことで何かあったのか…?何か大事なことだというのはわかったけれど、私には何も思いつかなかった。
お母さんに促されるままリビングに行くと、お父さんが険しい顔をして俯いていた。
おかえり、と振り向く表情がどこか暗い。
…悪い予感がした。


食事を終えた私は、片付けもそこそこに両親のいるリビングに行った。
ソファに腰掛けると、お父さんは俯かせていた顔を私のほうに向けて、私と視線を合わせると同時に話を始めた。
「実はな…」
「えっ…?」
私はそこで、思いもよらなかった現実を告げられる。
その現実―――お父さんの突然の転勤。
「今度は輝日南からもずいぶん離れるから、もう輝日南高校へは行けなくなる」
「それって…転校、ってこと?」
そして、もう一つ…突然の転校。
悪い予感は見事に的中した。
(そんな…急に言われても…)
「輝日南が好きなお前のために、上司を説得してみた…でも、通らなかった」
「そ、そう…」
弱気な返事をするのが精一杯。けれど、本心はイヤだった。
思い出がたくさんある輝日南を離れたくない。小さいときからずっと、ずっと慣れ親しんだあの街を離れたくない。それに、私にはまだあの街でやり残したことがある…。だから、まだ転校したくない。転校できない。
どうすれば、1日でも長く輝日南高校に通い続けられるのか…頭を無理やりシフトさせて、考え込んだ。
無言の空間に、親子3人。重苦しい空気が、私の心を締め付ける。
「せめて学園祭まで…ここにいちゃだめ?」
藁にもすがる思いだった。私の我儘なのはわかってる。でも、ここで我儘を言わなかったら私は絶対後悔する。お父さんにもお母さんにも、この気持ちをわかってもらいたかった。
「うーん…」
両親が目を合わせて思案顔をする。私がこんな我儘を言うなんて思ってなかったんだと思う。
私と両親の間に、部屋の重苦しさを倍増させるような空気が流れていく。
しばらく二人で目を合わせていた両親は、私に部屋に戻るように言って相談を始めた。言われた通りに部屋へ戻り、私は机に向かって一人悶々としていた。
転校…量ることのできない重たすぎる2文字。それが頭を占領して、まるで金縛りに遭ったように身動きが取れない。
転校するのは初めてじゃないのに、こんなに辛いものだったなんて…。目の下に溜まって溢れそうなものを必死でこらえながら、返事を待った。


話し合いを終えたお母さんが私の部屋を訪れ、口を開けた次の瞬間に出された答え―――
「結美の気持ち、よくわかったわ。それじゃ、学園祭が終わったら引っ越しだから」
…ホッとした。我儘を通してくれた両親に感謝した。
「うん」
まだしばらく輝日南に行ける。時間は足りないかも知れないけど、やり残したことができる。素直に嬉しい、とは言えなかった。でも、希望が残されているということで十分だった。
嬉し涙とも悲しみの涙とも知れない雫が頬を伝う。それを指で拭いながら、日記を書いた。


「学園祭までに、あの人に想いを伝えよう…ううん、伝えなくちゃ」
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Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
『アマガミ』の二次創作もぼちぼちと。


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