キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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浴衣と恋と友情と -2-

男女4人で女の子の家に行く。祭までずっと相原君と二人っきりだと思っていた私には、予想外のハプニングだった。しかも女の子とは初対面で、私とは正反対の性格…。私の内気な性格は、女の子に対してはまだ治っていないみたい。
待ち合わせ場所から数分で咲野さんの家に到着。相原君は浴衣の入った袋を私に渡す。
「じゃあ、私は星乃さんの着付けを手伝うから」
「うん、よろしく」
「あ…」
「星乃さんの荷物は家に持って行っておくから。それじゃ」
私の気持ちに気づかないまま、相原君は一人ペダルをこいで家に帰っていった。
「じゃあ俺は…先に輝日南祭の会場に行っておくよ」
「あ、うん…」
「あいつなら、着付けが終わるころには迎えに来てくれるから」
「う、うん…わかった…」
「それじゃあ、また後で」
御役御免といった感じで、柊君も私の前から去っていった。
「それじゃ、始めよっか」
「え、ええ…」
咲野さんの言われるがままに、買ったばかりの浴衣を袋から出し、着ていた服を脱ぐ。
着付けを始めると、咲野さんは私の不安を察してか雑談話を切り出してくれた。
「そうそう、私のこと明日夏って呼んで」
咲野さん…もとい明日夏ちゃんに対して肩の力が抜けていない私に、彼女は快く名前で呼ぶことを許してくれた。
話は彼女が好きなサッカーの話から、相原君たちから私が輝日南高校にいたことを知った経緯へと流れてゆく。
「苦しかったら言ってね」
デパートの店員と同じように、明日夏ちゃんは話しながら手際よく着付けしていく。テンポのいい雑談と手慣れた感じの動きが安心感を誘う。
「よし、完成…っと。あとは髪の毛ね」
「え、髪の毛も?」
「うん。下ろしたままでもかわいいと思うけど、折角浴衣を着るんだし」
「あ、うん…」
彼女の提案で髪の毛も結うことになった。
普段の髪留めにはゴムしか使わない私は、ヘアピンを借りて下ろしている髪を少しずつ上へと持ち上げる。鏡を見ながら、滅多に作ることのない髪型をイメージして作っていく。型が一通り完成したところで明日夏ちゃんに見てもらった。「うん、いいと思うよ」と反応は上々。お風呂の時しか髪の毛は上げないから、人前でアップにするのには少し抵抗があったけれど、浴衣を着て鏡を見るとそうでもなかった。
「星乃さん、こんなのどう?」
髪を結っている間に、明日夏ちゃんはどこからかかんざしを持ってきてくれていた。根元には小さくこでまりの花がこしらえてある。
「こでまり…えっと、花言葉は…」
「友情。今日会った記念だよ」
「あ、ありがとう…」
さりげない彼女の演出が嬉しかった。
「…そろそろ相原君が来るころね。自信持って行ってきなよ」


「星乃さん、終わった?」
相原君の声だ。いつもと違う私を見たら、どんな風に思うだろう。期待に胸を膨らませ、玄関を出る。
「お待たせ」
彼を見ると家で着替えてきたのか、浴衣姿に雪駄を履いている。表に出てきた私に気づくと、口を半開きにして私をじーっと見つめていた。
「…星乃さん、別人みたいだ…」
「え、あ…ありがとう…」
たぶん、それ以外の言葉がなかったんだと思う。お祭りの会場に向かっている間、彼は私の顔を見て話してくれなかった。ずっとほっぺたが赤かったから、普段とは違う私を見て恥ずかしかったのかもしれない。私も何だか恥ずかしくて、何を話したか覚えていない。下駄が発するコツコツという音だけが頭に残っている。
浮ついた気分のまま15分くらい歩いたところで、私たちを迎えるようなお囃子の音が聞こえてきた。時計を見ると、午後6時半。夜の始まりを告げるように、薄暗い街並みにぽつぽつと街灯が灯りだしている。
「今年はここなんだ」
「え…?」
記憶の片隅に残っていた校門のシルエットと今いる場所が一致した。
ここは…輝日南高校?
「あら、相原君。今年はお連れ様とご一緒なのね」
この声は、川田先生…!私が立っている場所がどこなのか、はっきりとわかった。
「先生、ごぶさたしてます」
「星乃さん、久しぶりじゃない。元気にしてた?」
先生も変わらず元気そう。かわいらしい笑顔も変わってなくて、私は輝日南高校に来たと実感した。
「星乃さんは浴衣かぁ…髪型も変えて、ずいぶん色っぽいじゃない。こんな彼女を持った相原君が羨ましいわ」
「先生…!」
先生の褒め方も相変わらずだった。褒めてくれるのは嬉しいけれど、彼の前で言われるのはものすごく恥ずかしい。
「フフッ、相変わらず恥ずかしがりやは変わってないのね。授業中にあんな大胆なことをしてたとは思えない」
「先生、それは…」
細目で私を見る先生の視線が突き刺さるように痛い。
事情が飲み込めず一人ポカーンとする相原君を差し置いて、女性同士の会話をしばし交わした。
「じゃ、私は校内の見回りがあるから。また会うかもしれないけどね」
「はい、失礼します」
軽くえくぼを作って先生が見回りに戻ると、彼はさっきの会話のことを切り出してきた。
「星乃さん、大胆なことって…何?」
「それは言わないで!」
「ご、ごめん…」
あのことは、相原君と一緒にいられるきっかけになった。でも、思い出すだけで恥ずかしいから彼には言えない。
「…それじゃ、中に行こうか」
気を取り直したように、相原君は私を校庭に誘う。


「お、お二人さん、やっと来たか」
「私のほうが後に出たのに、2人がのんびりしてるから先に着いちゃったじゃない」
柊君といつの間にか私たちを抜いていた明日夏ちゃんと合流して、私たちは輝日南音頭をBGMに露店を巡る。焼きそば、わた飴、金魚すくいに射的…。4人で回ると、相原君と2人のデートとは違う雰囲気で楽しめた。
露店で見せた男子顔負けの明日夏ちゃんの運動神経のよさに、私はびっくりさせられっぱなし。金魚すくいも射的も、明日夏ちゃんの独り勝ち。相原君、敵わないと思ってたのかずっと下向いてた。
「じゃあ、俺たちはこっちに行くから」
「じゃあね、相原君、星乃さん」
「悪いな、柊、咲野さん」
「柊君、明日夏ちゃん、またね」
2人と別れた私たちは、2人っきりになれる場所を探した。
「おにいちゃーん!」
(おにい…ちゃん!?)
誰かが呼ぶ声が聞こえると、相原君は咄嗟に私の手を握って声がした方向とは逆に走り出した。
「星乃さん、こっちにっ!」
「え、えっ!?」
彼の握力に引っ張られて思うように身動きが取れず、足をついていかせるのが精一杯。お祭りの音がどんどん小さくなってゆく。
校庭を背にしばらく走り、何かの建物の影でようやく相原君は足を止めた。
「どうしたの?急に走り出して…」
「いや、その…はぁはぁ」
走った後で息を切らしている私たちに誰かが近寄ってくる。
「そこの二人組!何やってるの!」
やべっ、と相原君が舌打ちをする間に、声の主は懐中電灯を手に私たちの前に立ちはだかった。先生だったらどうしよう…
「誰かと思ったら相原君!で…あ、あなた!」
懐中電灯を私たちの顔に当てる相手の顔がぼんやりと見える。
「あなた、星乃さん!?」
「え?あ…」
「私よ、私」
私たちに向けられた懐中電灯の光が向きを変え、持ち主の顔を照らす。
…栗生さんだった。彼女、今年も風紀委員なのね。
「校舎裏で2人っきりなんて、ずいぶん派手に不純異性交遊をしてくれてるじゃない」
「これにはちゃんとした理由が…」
「ふうん、私に言い訳しようってわけ。彼女の前で投げ飛ばされたいならどうぞ好きに言ってみて」
「い、いや、遠慮しとくよ」
呆れたように「ふう…」と一回ため息をついた栗生さんは、私を向いて言った。
「それにしても、星乃さんもよくこんな男と付き合う気になったわね。もっと男らしい男を見つけたほうが身のためよ」
「あはは…」
苦笑いをしながら、栗生さんの言葉を受け止める。栗生さんの突き刺すような一言一言が痛い。
「もう暗いんだから、気をつけて帰るのよ」
「うん、ありがとう」
「栗生さんも気をつけてね」
栗生さんと別れ、私たちは再び校庭へと向かった。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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Author:星乃裕一
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『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
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