キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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浴衣と恋と友情と -1-

「そうだ、夏休みになったら輝日南に来たらいいよ」
高校の期末試験が終わって、私たちは電話で夏休みの話題に花を咲かせていた。
今年も輝日南でお祭りがあるんだ。だから、一緒に回りたい。交通費は僕が出すし、2・3日なら僕の家に泊まればいいし…
相原君の提案に、私は飛び上がって喜んだ。
さすがに家に泊まるというのは気が引けたけれど、彼が家族を説得してくれたみたい。
「あ、それとさ…」
「何?」
「デートのついでって言ったら何だけど、デパートで浴衣買わない?」
「え…?」
「お金は僕が出すから」
お祭りに浴衣は欠かせないけれど、彼にそこまで負担をかけるわけにもいかない。
「そ、そんな…悪いわ、あなたにそこまでしてもらうのも」
「いいんだ。今月はバイト代が浮きそうだし、せっかく来てくれるんだし」
「そうなんだ…じゃあ、お言葉に甘えて」
そうこなくっちゃ、と喜ぶ彼の声が微笑ましい。
「じゃあ当日、輝日南に行くわね」
そう言って、私は電話を切った。
去年の学園祭の日に引っ越して以来、輝日南には行っていない。そのせいか、「輝日南」という響きがどこか懐かしかった。輝日南祭にもいつからか行っていないから、それが懐かしさに拍車をかける。
大好きな街で、彼と一緒の時間を過ごせる。それだけで、私は十分。
だって、好きな人といられる時間が限られてる今は、その人と一緒にいられる時間が何より大切だから。


夏休みに入ると、あっという間に彼と会う日がやってきた。


輝日南駅に着いた私は、久しぶりに見る「見慣れた」風景に迎えられた。
改札、駅舎、駅前の商店街…引っ越すまでは毎日のように見ていたこの風景も、しばらく見ないでいると何故か新しい土地に来たような感覚になる。
私の感覚が変わった。それが寂しくもあったけれど、違った視点で輝日南の街を見るのもいい刺激かもしれない。
改札を出た私は待合室の椅子に腰掛け、荷物を詰め込んだ小さめのボストンバッグを抱えて彼を待った。
左腕にはめた時計を見る。午後3時25分。もうすぐ待ち合わせの時間…。
―――5分としないうちに、彼は自転車で現れた。
「星乃さん、ごめん。待った?」
「ううん、さっき着いたところだから」
「そっか。間に合ったかな?」
二人で腕時計に視線を落とす。時計の針は3時半ぴったりを指していた。
「ぴったりね」
「よかった…お揃いの時計のおかげだよ」
「クスッ」
彼の狙ったような台詞に思わず吹き出してしまった私。
でも、遅刻癖のある彼が時間に間に合う。今日はいいことがありそうな予感がする。
「じゃあ、デパートに行こうか」
「ええ」
荷物を持つよ、と彼は私の手からバッグを取り、自転車の前かごに入れる。その仕草がいつもよりさりげない。


商店街を突き抜け、大通りを横切ってデパートに向かう。久しぶりに歩く輝日南の街は、あの時から何も変わっていない。
デパートも、時計を買ったときと何も変わっていない。
「デパート…懐かしいわね」
「ここで時計を買ったんだよね」
「ええ。あれからもうすぐ1年…早かったわ」
エスカレーターに乗りながら、思い出話で二人盛り上がる。
5階でエスカレーターを降りると、目の前に浴衣姿のマネキンが並べられていた。色とりどりの浴衣が売り場を華やかにしている。
売り場に入った私は目移りするほどの浴衣の数に圧倒されて、どれにしようか頭を悩ませた。
それでも4つに候補を絞って、私を待つ手持ち無沙汰な彼に声をかける。
こういうときは、彼に聞いてみるのがいいかもしれない。
「ねえ、どれが似合うと思う?」
「そうだなぁ…」
しばらく彼は首をかしげながら、選んだ浴衣と私を交互に見つめる。その表情は真剣そのもの。
時折唇を噛みしめながら、私が浴衣を着ているイメージを作ろうとしていたんだと思う。
「…うん、これがいいかも」
彼が選んだのは、薄いピンクに白い花柄が細かく散りばめられたもの。
「一回試着してみたらいいよ」
「うん」
店員さんに試着をお願いして、私は試着室に入った。
「腰が苦しかったら言ってくださいね」
「は、はい…」
服の上からテキパキと着付けをする店員さんにびっくりする間もなく、着付けはあっという間にできてしまった。
「彼、どう?」
カーテンを開けた店員さんに尋ねられた彼は、腕を組みながら私を見つめる。
「うん、僕のイメージした通りだ。よく似合ってる」
「ほ、本当に?」
彼はこくりと頷く。彼が「似合ってる」って言ってくれて、もう満足。
「じゃあ、これ、ください」
「はい」
私は浴衣を畳み直して店員さんに渡し、お会計を済ませた。


「ちょっと駅前に寄りたいんだ」
デパートを出た私たちは、再び商店街を抜けて待ち人がいるという駅前に向かう。
待ち人が誰なのか問いただすと、彼は「来れば分かるよ」とはぐらかす。
(誰なんだろう…気になるわ…)
誰なのか思案しながら商店街を抜けた先。コンビニの前に、見覚えがある男の子が立っていた。
「柊、待たせてごめん」
「あ…柊君!」
猫のような切れ長の目に流し気味の前髪。久しぶりに会う元クラスメートも、変わっていない。
「やあ、星乃さん。久しぶり」
「ほんと、久しぶりね」
でも、どうしてここに柊君が…?しかも、柊君はもう浴衣を着ている…。
「今日は柊に手伝ってもらってるんだ」
「え…?」
どういうことなのか、彼が何を考えているのか、まったく読めない。
「柊の知り合いに着付けの先生がいるんだ。そこで、星乃さんの浴衣の着付けをしてもらおうと思ってね」
「あ…そうなんだ…」
「もうすぐ来るはずなんだけど」
柊君が振り向いたその先から、誰かが走って私たちの方にやってくる。
「あ、柊君!」
私たちの目の前に現れたのは、ポニーテールがよく似合う女の子。鞄とは別に、重たそうなスポーツバッグを右肩から提げている。
「えっと、相原君が言ってたのは、この子?」
「そう。星乃さん」
「あ、星乃結美です…」
私は何が何だかわからないまま見知らぬ女の子に自己紹介をしていた。
「星乃さんね。私は咲野明日夏。柊君とは3年から同じクラスで、相原君とは柊君と共通の知り合いってとこ。よろしくね」
「あ、はい…」
ハキハキと喋る彼女に圧倒されて、私は得体の知れない不安に襲われる。
「よろしく頼むよ、咲野さん」
「ええ、もちろん!じゃあ、行きましょ」
立ち話も早々に、私たちは咲野さんの家へと向かった。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
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