キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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2人の廊下 -13-

ホームルームが終わると、僕は星乃さんを呼び出した。
「星乃さん」
「何?相原君」
いつも通り、彼女は笑顔で接してくる。
「これからって時間ある?」
「今日は図書委員の仕事が休みだから、大丈夫」
「よかった。ちょっと星乃さんに話があって」
「え?」
「どうかした?」
「ううん、私も相原君に話さないといけないことがあるから」
僕に話さないといけないこと…?いったい何だろう。
「そうなんだ」
「だから、2人っきりになれるところに行きたい」
「2人っきりか…じゃあ、校舎裏に行かない?」
「ええ」
2人っきりでないと話せないこと。もしかしたら…もしかするかも知れない。
僕は窓から校舎裏に誰もいないことを確認し、星乃さんを連れて階段を下りた。


「それで、星乃さんの話って?」
「私の話は後でいいの。相原君から話して」
「わかった」
僕は一度浅い口呼吸をして、星乃さんに訊いた。
「僕は、星乃さんの気持ちを確かめたい」
「えっ?」
いきなりの問いかけに戸惑っている様子の星乃さん。
「星乃さんは僕のことをどう思っているのか、どうしても知りたい」
「それは…」
星乃さんが一瞬口をつぐんだ。
「あ…ごめん。じゃあ僕から先に言うよ。僕は星乃さんのことが」
「待って!」
彼女は大声で僕の言葉を遮った。
その表情からは困惑の色が滲み出ている。
「それ以上…言わないで…」
僕の口を塞ぐように両手を突き出す星乃さん。
「どうして?」
「それは…言えない…」
星乃さんの苦しそうな表情を見て、ギューッと胸が締め付けられる思いがした。
僕は息苦しかった。
「相原君…私、このままでいたいの」
「このままって…友達ってこと?」
「うん」
「それじゃあ、僕のことなんか何とも」
「そうじゃないの!でも…」
彼女は今にも泣き出しそうな声で、再び僕の言葉を遮った。
「でも?」
「…ごめんなさい…」
「星乃さん…」


眉を下げ口を小さく開ける星乃さんの表情が、彼女の今の気持ちを物語っていた。
何かを言いたいけど言えない…そんな彼女の困惑した思いが、顔に表れていた気がした。
「星乃さん、ごめん。僕が急ぎすぎたんだ」
「ううん、相原君は悪くない!悪いのは私…」
「どうして?星乃さんは悪くないよ」
「ううん、私が悪いの」
「…」
「…」
何も疑問が解けないまま、時間だけが過ぎてゆく。空には僕の心を象徴するように夕立ち雲が覆っていた。


ポツッ……ポツッ……


ザーッ…


「…相原君、キスして…」
「え…」
僕は躊躇った。星乃さんからキスを求められるなんて。
「言葉では言えないけど、気持ちなら伝えられるから…」
「星乃さん…」
僕は星乃さんが好きだ。でも、彼女は僕のことが好きとわかったわけじゃない。なのに、キス…
煮え切らない想いが星乃さんの求めを拒もうとする。
「本当に、いいの?」
「…うん」
彼女は目を瞑った。
…恋人ではない星乃さんとのキス。僕はこのままキスをしていいのかわからず、怖かった。
でも、星乃さんは本気なんだ…。怖じ気づく自分の気持ちを無理矢理奮い立たせ、濡れている彼女の肩を抱いた。
そして、ゆっくりと唇を近づけた。
僕の唇が星乃さんの薄い唇に到達した瞬間、初めて感じる柔らかな感触が唇から全身に電流のごとく流れた。
「ん…」
彼女の鼻腔からかすかに吐息が洩れ、それが僕の頬に当たる。
(星乃さん…好きだ…)
気持ちが彼女に届いて欲しい。ただそれだけを念じて、僕は彼女を抱いた。
一刹那の後、静かに唇を離すと、彼女の目からは大粒の涙が雨と一緒に流れ落ちていた。
「星乃…さん…」
かける言葉が見つからず、僕は彼女の肩を抱いたまま立ち尽くした。
「どうして泣くの…かな?」
「なんでも…ないの…」
「でも…」
「本当に何でもないの。胸がいっぱいになっただけ…」
「……」
「……」
雨が降っていることも忘れ、僕と星乃さんは互いの体を密着させ、無言の会話を交わす。


「相原君、週末…何か予定入ってる?」
「特に入ってないけど?」
「じゃあ…2人でどこかに行かない?」
「えっ?それは…本気?」
星乃さんから誘われた。その現実を、イマイチ受け入れられない自分がいた。
キスはした。でも、恋人同士というわけじゃないし…。迷いは消えてはいなかった。
「うん。ダメ…かな?」
「いや、とんでもない!喜んで行くよ」
僕は星乃さんのことが好きだ。その気持ちがOKの返事をさせた。
「よかった…」
「でも、どこへ?」
「…私の家。家の近くにはいろいろあるし、帰り際に私の家に寄ってくれればいいから」
「え…本当に…いいの?」
「ええ」
少しだけ星乃さんの頬が緩み、彼女に笑顔が戻った。
「じゃあ…日曜の11時に私の使ってる駅で待ち合わせでいい?」
「うん、わかった」


「それじゃ…私、行くわね」
「あ、星乃さんの話は?」
「…それは、日曜日に話すわ。そうさせて」
「…わかった」
「じゃあ、風邪…引かないようにね」
「星乃さんもね」
「うん…」
軽く頷きながら、星乃さんは小走りで校舎へと消えていった。
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Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
『アマガミ』の二次創作もぼちぼちと。


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