キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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あま・がみ~prologue~ -1-

アマガミSS第1作。
長編をほったらかしにして書き下ろしました。
アマガミ発売まではヒロインごとの短編を書こうかと。
プロローグでは今のところ1話あたり1ヒロインの予定です。
第1話のヒロインは結美との共通点を持つあのヒロイン。


優先順位が違うよね?
でもいいよね?
++++++++++


事の始まりは10月の初めにあった文化祭の日に遡る。
「1年に可愛くて巨乳な娘がいるってさ」
1学期の終わりごろからこんな噂が2年の男子の間で広まった。
次々とその噂に乗せられて1年教室の様子を覗きに行く連中が増えた。
(胸が大きいから何なんだ)
無関心を装っていた僕の元に悪魔の囁きが聴こえたのが、その文化祭の日だった。
文化祭は学校全体の行事でクラスごとに出し物をするから、誰がその噂の人物かがわかる。
その悪魔…ここでは“悪友”と言うべきであろう男は僕にこう言ってけしかけた。
奴に連れられて1年生の教室がある棟に向かう。
そのさなかにある渡り廊下で、奴は急に立ち止まった。
急に止まったために後ろを歩いていた僕は追突する形で奴に体当たりする。
「おっと…彼女だ」
よろめきながら悪友が指差したその先には、友達らしき人物と並んで歩いてくる話題の女の子。
少し茶がかっていて、ぱっと見では癖毛に見えるウエーブがかった髪。
一目見れば覚えるインパクトのある髪型だ。
その下は…と2年男子の注目の的へと視線を動かすと。
「こ、こんにちは…」
彼女は顔の輪郭に沿って垂らした横髪を揺らめかせ、少しはにかみながら一瞥をくれた。
どうやら視線に気付いたらしい。
「こ、こんにちは…」
チラッと見るだけだ、きっと気付かれない―――そう思い込んでいたために意表を突かれた僕は、蚊の鳴くような声で返事をした。
彼女は友達と話しながら、僕たちが歩いてきた道を歩いて去っていった。
ファーストコンタクト。
「じろじろ見るなよ、いやらしい」
「人のこと言えるのかよ。そもそも僕は」
「彼女を見ていたお前の目…まるでグラビアアイドルの全身を舐め回すように撮るテレビカメラみたいだったぜ」
「ちょっと表に出ろ」
「冗談に決まってるだろ、ったく…。だが、可愛いことは確かだろう?」
僕は何も言わず、ひとつ頷いてみせる。
「中多紗江。1年生ではずば抜けた成績とスタイルの持ち主。優等生らしく、図書室によく出没するらしい」
「…そうなんですか」
悪友がプロファイルした情報をひけらかすのに対してわざとらしく敬語で返し、空気をぶった切って踵を返す。
つれないな、という奴の言葉にも動じず、目的を果たした僕は自分のクラスの出し物の手伝いに戻った。


文化祭の片付けがひと通り終わり、ゴミ捨て場に使った資材を捨てに行こうとしたところ。
僕は校舎から出てくる彼女の姿を目にした。
重たそうにゴミの入ったダンボールを抱え、時折「よいしょ」と抱え直している。
僕は僕で資材を肩に抱えて目的地に向かう。
祭りのあと、という言葉がよく似合う使用済み資材が散らばったゴミ捨て場に抱えていたものを投げ入れ、用済みとばかりに背を向ける。
振り返るとタイミングよく彼女…中多紗江が背後に迫っていた。
目が合う。
向こうは僕に会釈をする。つられて僕も会釈する。
「あ、あの…橘先輩、ですよね?」
(えっ?)
昼間と同じように、彼女から声をかけてきた。
どうして僕の名前を知ってるんだ。
「え、あ、はい…」
「さっきお友達と一緒にいたの、見ちゃいました」
「あ、ああ…」
悪友に連れられたあのときのことだ、とすぐに気付いた。
名前は知っている。でも、ここで名を呼ぶとどうして知っているのかと疑われかねない。
口にするかどうかで躊躇っているうちに、彼女は持っていたダンボールを降ろして自ら名乗った。
「はじめまして、中多紗江です。はじめまして…といっても、もうお会いするのは2回目ですよね」
丸みを帯びた二重の目を細めながら、彼女は微笑みを浮かべる。
どんなことも包み込みそうな優しそうな笑顔が男心を刺激する。
こんな子だったんだ、と心の中で感心する。
「まさかこんなところで会えるなんて…なんだか、嬉しいです」
表情は崩していないものの緊張しているのか文字通り足をもじもじさせ、両手の指を何度も絡めている。
腕は胸の前できゅっと締めているから、噂になっていた胸の部分が強調されて盛り上がっている。
一見ぶりっ子のようにも見えるけれど、彼女にはその雰囲気がまるでない。
本当に緊張しているのだろう。
そしてここで例の噂が真実であることを知り、内心ニヤリとする。
「僕は…もう名乗る必要がなくなっちゃったな」心をごまかすように僕は頭を掻く。
「あ…すみませんっ」
「いいよ、気にしなくて。それより、これを片付けたほうがいいよね?」
僕はできるだけ冷静に状況の把握に努めた。
彼女は僕に会いに来たわけではなく、ただ資材の片付けに来ただけなのだ。
彼女の足元に置かれたダンボールを抱え、それを僕はゴミの山にさっきよりも強い力で投げ込んだ。
「先輩、ありがとうございました」
「いや、これくらいならなんでもないよ」
まるで偉い人を目前にしたように、ツインテールを垂らして深々と頭を下げる彼女に謙遜する。
「あ、あの…」
「何?」
頭を上げた彼女は僕を見上げ、問いかけてきた。
「先輩は、本とか読まれるんですか?」
「うん、たまにね」優等生らしい質問だな、と思いながら答えを返す。
「よかったら、今度図書室に来てもらえませんか?面白い本があるので」
「面白い本?」
「はい。私、図書委員をやっているので、いろいろと知ってるんですよ」
紗江、早く帰ってきて、という大きな声が後ろから聞こえてきた。
「あ、すみませんっ。友達が呼んでるので帰らないと…」
「うん、またね」
「はい。またお会いできるのを楽しみにしてます」
僕に背を向けた彼女は髪の毛とスカートを揺らし、校舎内へ消えていった。


「紗江ちゃん、か」
家に帰り、ベッドの上で今日あった出来事を振り返る。
学校で何か名を馳せるようなことをしたことのない僕の名前を知っていたなんて。
世の中にはスキモノもいるのかな、と苦笑いしてみるが、どうもその考えだとしっくりこない。
好意のない男に自分の体をじろじろ見られてでも挨拶する気丈な女の子などその道のプロでない限り皆無だ。
だとすれば、彼女がゴミ捨て場で発した言葉たちは本心の表れなのかもしれない。
(…まさか、な)
明日になればまた現実に戻るんだよな、と最近のドラマの脚本でも書かないような昼間の超展開を鼻で笑った。


僕の心を彼女が甘噛みしていることには、後に気付かされることになるのだが。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

コメント

早速読ませていただきましたw

これは買い~ですねwww
【2008/10/01 11:19】 URL | 子龍 #V4rYaZBU[ 編集]
どもです。

買わずしてアマガミSSは書けませんねw
【2008/11/07 23:00】 URL | Author #y/MN7pSg[ 編集]

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