キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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遠い街のどこかで~17 years old~ -3-

ちとペース早いけど第3話。
“相原”光一と結美はここで幸せにしてみせる。


今回と次回は光一サイドでの展開です。
それ以降?まだ秘密。


しかし、あのアニメで満足する人も世の中にはいるんですね。
世間は広い。
**********


澱んだ冬空を見上げる。
雪が降るのを知らせるかのような冷たい風に髪が煽られる。
鞄の中に折りたたみの傘がないことを確認し、必死でペダルをこぐ。


僕が外出していた理由。それは年末年始の大掃除のため。
それも家だけではなく、バイト先も込みで。
「光一、ちょっと用事がある」と電話でマスターに呼ばれ、非番なのに店に向かったのが運のツキ。
窓掃除を手始めに、食器棚の掃除や照明の手入れ。
パソコン周りの掃除や空調の掃除も全部僕がやった。
結局“大掃除”という名にふさわしい掃除量をこなす羽目に。
受験生なんだから少しは労わってくれ、という言葉が喉まで出てきかけた。
言うと角が立つから、あえて言わなかったけれど。


ヘロヘロになって家に帰りポストを開けると、一通の封書が僕宛に届いていた。
クリスマスをイメージしたのだろう。赤い封筒に白いシール。
送り主が誰なのか一目でわかった。
階段を駆け上がり、部屋に飛び込む。
(どれどれ…)
中の便箋から送り主の綺麗な字が反転して見える。
その便箋を取り出して、ベッドに横たわって読むことに神経を集中させる。
読み終えると、二段ベッドの下にある底の深い菓子箱に入れる。
(随分、手紙のやり取りしたんだな)
箱いっぱいの手紙を見つめる。
二人のつながりを象徴するような封筒が、それぞれ色を放つ。
その色とりどりの封筒の中にひとつ、異彩を放つチョコレート色の封筒があった。


そういえば…。


**********


2月の半ば。
僕たちは蛍ヶ浦で3度目のデートを予定していた。
もちろんそれはバレンタインデーがあるから。
宅急便でチョコレートが送られてくる、というのも悪くない。
けれど、やっぱり直接もらうほうが情がこもっていていいじゃないか。
僕のエゴが蛍ヶ浦へと足を運ばせた。


『まもなく蛍ヶ浦、終点でございます』
電車のアナウンスで目を覚ます。
これが星乃さんに会いに行くときの習慣になっていた。
蛍ヶ浦に来たのはまだ3回目だというのに。
―――まあ、朝早くに抜き足で家を出てくるのだから、無理はないのだけれど。
ホームに降り立つとツンと冷たい風が僕の頬に刺さる。
蛍ヶ浦の冬は寒い。
それは1月に来たときに痛いほど感じた。
輝日南も冬には雪が積もるから寒いほうだと思ったけれど、それより寒いというのは想定外。
マフラーで口元を隠し、ニットの帽子を深くかぶる。
待ち合わせ時間は正午。
日帰りであることを考えると、この待ち合わせ時間はあまりに遅すぎる。
片道6時間という足かせが憎らしい。


改札を出てキンモクセイの並木前に立つ。
前来た時と同じように、花の代わりに雪が並木を白く彩っている。
駅のほうを見渡してみると、お昼前なのに人通りはまばら。
これだけ寒いと誰も出たがらないのだろう。
(…さて、と)
そろそろ時間、と思って腕時計を見る。
ちょうど12時。
彼女の家のほうを向いていつ来るかと胸を躍らせる。
そのまま5分経ち、10分が経つ…。
(…?)
いつもとは違う。
でも彼女を信じて待ってみる。
さらに時間は過ぎ、12時30分。
一向に来る気配がない。
携帯も鳴る気配がない。
珍しい。珍しすぎる。
星乃さんが約束を破るような人じゃないのはわかっている。
だから電話はかけないつもりでいた。メールもしないつもりだった。
でも、時間が経つにつれて落ち着かなくなっていた。
携帯を取り出す。電話帳から彼女の番号を探し出す。
画面に番号が映し出されたところで、手を止めた。
(かけて、いいのかな?)
通話ボタンを押すのに躊躇っていると、携帯のバイブが震えた。
慌てて通話ボタンを押す。
「もしもし」
「もし…もし」
「星乃さん!?」
元気のない声が聞こえてきた。
「どうしたの?」
「ゴホ、ゴホ…じ、実は…」
「実は?」
「実は…インフルエンザにかかっちゃって…」
「……」
インフルエンザ!?
前の日電話したときには元気そうだったのに。
「どうしてそれを…?」
「相原君を…心配させたくなかったの」
「……」
病気になっても僕のことを気遣う彼女の気持ちが辛かった。
自分に何かできることはないか、必死で頭を回転させた。
「看病しに行こうか?」
「ありがとう…でも、あなたに移すといけないから…」
星乃さんの顔を見たい。看病をしてあげたい。
でも、僕のことを考えてくれる彼女の気持ちも理解してあげたい。
葛藤が生まれ、それが自分を苦しめた。
「…そっか」
「本当に…ごめんなさい…」
歯を食いしばりながら、会いたい気持ちを抑え込んだ。
電話口でまた咳き込むのが聞こえて、胸が締め付けられた。
そばにいてあげられない悔しさがじわじわとこみ上げてくる。
「星乃さん、あんまり自分を責めないで」
「…うん、ありがとう」
力のない声。
そばにいたら思い切り抱きしめてあげられるのに…!
電話を持つ手にも力がこもった。
「それじゃ、元気になったらまた会おうね」
「…ええ」
それじゃ、とお互いに言って電話を切った。


星乃さんに会えないのにこの場にいても仕方ない。
携帯をポケットにしまうと、僕は電車の時間まで蛍ヶ浦の地図を片手に歩いた。
蛍ヶ浦のいいところ、かつ二人きりになれる場所を見つけるために。


**********


数日後、彼女から手紙が届いた。
それが手にしたチョコレート色の封筒。
「ごめんなさい」で始まった便箋の中身は、僕への謝罪で溢れていた。
何も悪いことをしていないのに、どこまでもへりくだる彼女がいじらしかった。
でも、そんな彼女が僕は好きだ。


封筒を開けて手紙を読み直してみると、改めて星乃さんへの気持ちを確認できる。
星乃さんのことを誰よりも知っていること。そして、誰よりも好きであること。
それが、恋人としての僕の役目だと思っている。
たとえどんなに離れていても、これは変わらない。
「お兄ちゃん、年越しそばができたよ~」
ドアの向こうから菜々の声が聞こえた。
(もうそんな時間か…)
箱を一旦戻し、部屋の電気を落とす。
階段を下りるといりこだしのいい匂いがする。
菜々がなるみちゃんの家からもらって帰ってきたのだろう。
間違いなく「里なか」のダシの匂いだった。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

コメント

非公開コメントに公開返信するという第三者視点では変な感じですが。


大きなお世話だと思っていただいているなら本望ですよ。こちらとしては。
私は中盤以降一貫してアニメ否定の立場を取りました。その気持ちが最終話の内容によって一気に加速した。それをあえて隠さず皮肉った。
本来ならばスルーするのが全うな判断なのでしょうけど、これをキミキスだと思われるのは残念でならないので。
【2008/03/26 00:49】 URL | Author #y/MN7pSg[ 編集]
ご返信いただきどうも。

アニメ自体に対しては否定派ですよ、私も。批判するのも皮肉るのも大賛成です。
しかし件のコメントで皮肉っているのはアニメ自体ではなくアニメを面白いと思っている人、ですよね?
私が言いたいのは何を面白いと思うかなんて人の自由なんだから黙ってほっといてやれよ、ということです。上から目線で馬鹿にしたような言い方をするのは良くないですよ。(すみせんが私の目にはそのように映りました。)
世間の視線も冷たいおたく、ギャルゲーマーであるなら、この辺りはよっくおわかりのはずと思いますが。
まあ攻撃的な発言をするのも自由でしょうが、しかしその場合やはり今回のような反撃をうけるのもまた致し方ないことでしょうな…
【2008/03/26 21:18】 URL | 名無しの図書委員 #-[ 編集]
もちろん反撃は承知の上です。
また、あのコメントを見て「上から目線」だと感じられることも計算済みです。
まさか非公開で“辛辣な”コメントをいただくとは思ってもいませんでしたが。


>何を面白いと思うかなんて~
それを踏まえて書いてます(そうは見えなかったかもしれませんが)。
私のコメントがアニメを面白いと思っている人にとってお節介なのは先のコメントで「本望」と書いたとおり重々承知しています。
アニメが面白い、と主張している人に自分の本音が伝わるなんて十中八九無理でしょう。相手には相手の言い分がありますから。
でも言わずにはいられなかった。
それもわざと「イラッ」とさせる物言いをすることで。


申し訳ないですが、私はコメントを取り消すつもりも態度を改めるつもりもありません。この件に関しては。
【2008/03/27 00:26】 URL | Author #y/MN7pSg[ 編集]
すべて承知のうえで、だったのですね。ではもう言うことは何も無いです。

ただ、肯定派ではない私でもあのコメントは非常に不愉快に感じたと言う事だけは知っておいて欲しいのです。

…それから、私は通りすがり等でなく裕一さんのファンなんだってことも、それだけ。

【2008/03/27 01:19】 URL | 名無しの図書委員 #-[ 編集]
ペースの速い作品お疲れ様です。
今回も良い内容でした。
結美のよさが改めてよく感じまられました。
やっぱ結美はこうじゃないと!とおもい
ます。
【2008/03/27 12:40】 URL | 子龍 #V4rYaZBU[ 編集]
>名無しの図書委員さん
わかりました。
今後はあんな口汚いことは言わないつもりです。むしろ言いたくもありません。


>子龍さん
どもです。
あくまで好きな相手を気遣える(かつ幸せな)結美を書こうと必死でしたよ。
【2008/03/28 15:12】 URL | Author #y/MN7pSg[ 編集]

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