キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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密室でのひととき

12日には公開できなかった結美の誕生日SS。
珍しくショートショートでまとめてみたり。
書きながらこんな彼女がいたら、と思ってしまいました。


結美、誕生日おめでとう。


+++++


私がちょくちょく訪問させていただいているサイトさんで黒結美がっ。
黒結美なんていませんよ?





…いえ嘘です。
本編やちょおま(もうちょおま含む)で一番ズレてるのが結美なら、一番策士なのも結美。
だからどっちの結美もありなんですよねぇ(笑)
前者があんまり強く出てるから後者が目立たないだけです。ええ。
**********


私の18歳の誕生日は、センター試験までちょうど1週間の日になった。
相原君とは前々から会う約束をしていた。
それも「星乃さんと少しでも長くいたいから」と夜行列車で来てくれた。
「おはよう」
「おはよう」
寝癖の残る頭を掻きながら、彼はホームに降り立った。
少し顔色がよくないように見えたけれど、寝起きのせいだと思っていつも通りに接した。
「ごめんなさい、もうすぐ試験なのに」
「いいんだ。星乃さんと一緒に勉強したかったから」
「…ありがとう」
彼の言葉が嬉しかった。
改札を抜け、私たちは予定していた図書館での勉強のために目的地に向かった。
図書館は3階建てになっていて、私たちが使う自習スペースは3階。
そこまで階段を上り、筆記用具だけを出して鞄をロッカーにしまった。
今日は夕方まで勉強してから、私の家で夕食と誕生日パーティ。
先の楽しみに心を躍らせながらノートにペンを走らせた。
隣を見ると、彼も順調そうに見えた。
ところが私が1枚目のルーズリーフに問題を解き終えたころ、彼が呟いた。
「頭が…」
「えっ?」
彼の額に手を当てる。
「すごい熱…どうしたの?」
「…わからない」
「でもこれじゃ…。早く病院に行かないと」
急いで彼の胸ポケットに入っていた鍵を取り出し、鞄を取りに行く。
目当てのものを手にするとすぐに彼の元に戻り、彼の鞄に机の上のもの一切を詰め込んで彼の肩を抱える。
「お嬢ちゃん、大丈夫?」近くの席のお爺さんが声をかけてくれた。
「ええ、なんとか」
本当は私一人の体では支えきれなかったけれど、頑張って一人で彼を支えてロビーにまで連れて行った。
1階に降りてロビーの椅子に彼を座らせると、私は携帯でタクシーを呼び出し、病院に向かった。


**********


星乃さんに抱えられて病院に行き、診察を受けてからホテルに戻った僕は、すぐにベッドに寝かされた。
頭がクラクラして、目の前がぼんやりとする。
「相原君」
「…星乃さん」
星乃さんの声が、うっすらと聞こえてくる。
「どうして熱出してること、言わなかったの?」
いつもより篭った声が耳元で聞こえる。
彼女が涙声になっているのが、鈍っている感覚でもわかった。
「…ごめん」
どうすることもできず、僕は呟くようにただ謝った。
前の日から頭はフラフラしていて、調子はよくなかった。
けれど、星乃さんの誕生日には絶対に会いに行く。
前々からその心積もりだったから、行かないだとか引き返すだなんてことは考えていなかった。
「大丈夫なの?」という親の心配も振り切って夜行列車に飛び乗った。
その結果が、これだ。
「39度だってお医者さんが言ってたわ。ゆっくり休みなさい、って」
「…うん」
目をゆっくりと閉じながら、彼女に病院での話を一部始終教えてもらう。
でも閉じきってしまうと自分のしたことが情けなくて泣いてしまいそうだから、気持ちが落ち着くまでは意識して視界を残しておいた。
そばではチャプン、と水のはねる音がする。
そして濡れタオルを僕の額に当て、温くなるとすぐに濡らしなおす星乃さんの姿。
「ちゃんと体、休めてね」
彼女は自分の誕生日なのに青筋ひとつ立てず、優しい言葉をかけてくれる。
その気遣いが嬉しくて、涙腺が余計に刺激されそうだった。
タオルは数分おきにひっくり返され、どの面も熱を吸い取るとまた冷たい水を含ませて僕の額に戻ってくる。
それが数回繰り返されていくうちに、僕は眠りに落ちていった。


**********


やがて寝息が聞こえると、私はホテルの机に座って自分の鞄を開けた。
(えっと…)
迫りくる本番を前にして自分の気持ちを切り替える。
彼と同じ大学に行くために、最後のもうひと踏ん張り。
ダウンしてしまった彼の分も頑張りたい。
筆箱からシャーペンを取り、ノートと参考書を開く。
(…そうだ)
彼の鞄からもノートを取り出す。
私のノートとまったく同じレイアウトのそれは、二人の努力の結晶。
夏休みに二人で頑張って作ったノートだから、お互いの気持ちがこもっている。
「頑張らなくちゃ」
彼のノートを閉じ、目の前に立てかける。
彼に聞こえないようにポツリと呟いてから、私はそのノートを見ながら再びペンを走らせた。


「…ふう」
勉強が一段落するとすぐに彼のタオルを濡らしなおした。
手で濡れている額を触ると、図書館でダウンしたころに比べると少し下がったような印象。
そこでホテルに戻る道中で買った体温計で彼の熱を測ってあげる。
―――38度5分。
まだ平熱に戻ってはいないけど、下がり始めていることに胸を撫で下ろした。
湯桶の水がすっかり温くなってしまっていたから、取り替えようと洗面所に向かおうとしたとき。
「結美…」
(相原君…!)
起きたと思った私は湯桶を持ったまま彼のほうを振り向く。
視線の先にはすやすやと眠る彼がいる。
(なんだ、寝言だったのね)
勘違いだったとわかって舌をぺろりと出し、再び元の作業に戻る。
でも、彼に名前で呼ばれたのは初めてだったし、嬉しかった。
きっと私の夢を見てくれている。
そう思わずにはいられなかった。
(…そうだ)
気持ちのベクトルが勉強から彼の方に向き始めたのを感じた私は、水を替えると机には戻らずベッドに歩み寄った。
身をかがめ、彼の額に私の額を合わせる。
彼の寝息が私の顔にかかってくすぐったい。
(このまま、キス…しちゃおうかな)
間近にある彼の唇をちらりと見る。
熱が引くおまじない、なんて昔のドラマみたいなことを思いついてみる。
しようかな、それともやめておこうかな…気持ちが揺れる。
近づけた顔をいったん離し、彼の顔をまじまじと見つめた。
(今日はおあずけにしようっと)
静かに寝息を立てて眠るのを邪魔するのはやめにした。
それに私の誕生日に大きなお土産を連れてきたんだから、これくらいのことはしなくちゃ。
私の小さないたずら心が働いた。


そのかわり、元気になったら思いっきり甘えちゃおう。
タオルを彼の額に当てながら、ひとり微笑む私がいた。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

コメント

まずは、結美誕生日おめでとう!!!

というべきでしょう。

体のこと、無理せずにがんばってください。でないと、結美におこられてしまいますよ。お疲れ様です。



【2008/01/12 23:57】 URL | 子龍 #V4rYaZBU[ 編集]
ありがとうございます。
おかげさまでSS完成までこぎつけられました。


まさかコメントからネタのヒントを得る形になるとは思ってなかったので、子龍さんにはこの場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
【2008/01/15 00:00】 URL | Author #y/MN7pSg[ 編集]
いやーなんといっていいやら・・。
うれしいですね。なんか。
でも、たわいもないコメントから
ネタを汲み上げて、作り上げた
管理人さんの根性の賜物だと
思いますよ。 

それにしても、SSいい感じですね。
ちょっといたずら心が出た結美が
またかわいすぎますよ。

お疲れ様でした。

それと、管理人さんがちょくちょくいっているという、黒結美のサイト紹介してもらえませんか?興味がわいてしまいました。
【2008/01/15 13:24】 URL | 子龍 #V4rYaZBU[ 編集]
ありがとうございます。


まあ、いろいろありましたからねぇ(遠い目
今作はいつもの結美とは一味違った結美を見せてみました。いつもは素直なんだけど、この作品ではいたずらっ子ですしね。


+++++


黒結美のサイトについてですが、キミキス絵をよく描かれる明日夏好きの絵師さんのサイトですよ。
【2008/01/15 23:24】 URL | Author #y/MN7pSg[ 編集]
わかりました。ありがとうございます。
【2008/01/16 13:56】 URL | 子龍 #V4rYaZBU[ 編集]

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