キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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Kiss in the Rain~後編・1~

ご無沙汰しております。


2ヶ月ぶりの後編。
でも、まだ続きはあるんです。
なので“後編~その1~”という意味合いで。


要は長くなりすぎたと(爆
++++++++++


「相原君、どうしたの?」
「随分真っ赤な顔してるじゃない、光一」
「先輩、なんだか変です…」
「こ、これには事情があって…」
二見さんに“見られた”ことを引きずったまま会場に行った僕は、みんなに自分の顔色を真っ先に問い詰められた。
訊かれたくないことなのに、囲まれた状態だと答えざるを得ない。
(あーあ…)
みんなの前で誰かに当たり散らすわけにもいかず、羞恥心の上にフラストレーションがどんどん積もっていく。
パーティが始まる前から気分が悪い。
「ちょっとからかいすぎたかしら」
一方の二見さんは、唇に人差し指を触れさせながら機嫌を損ねている僕を見ていたずらっぽく笑っていた。
―――それにしても、参加者が僕の知っている人ばかりってどういうことだ?
周りにいる参加者を見て、ふと僕の頭に新しい疑問が浮かんできた。
「このパーティっていったい何のために?」
「それはそのうちわかるわよ」
そばにいた摩央姉ちゃんに聞くと、なんともそっけない返事が返ってきた。
じゃあこの正装の意味って何だ?別に制服でも問題ないんじゃないのか?
余計にモヤモヤしてしまう。
そんな僕に、後ろから声をかけてくる人物がいた。
「さて、主役が来たようだな」
(この声、もしかして…)
背中越しに聞こえる声は、いつも聞いているあの声。
柊だ。間違いない。
「お前もいた…うわっ!?」
振り返ってみると、柊の姿はない。
代わりにいたのは、菜々の部屋にあるあのクマのぬいぐるみだった。
(……!!??)
僕が振り返ってまじまじと見つめると、クマは直立不動で僕を見つめ返した。
なんだか気色が悪い。
「相原、そんな顔で見るなよな」
「うわっ、しゃべった!」
「はははは」
のけ反る僕をあざ笑う柊の声をしたクマ。
「柊、どこにいるんだ!?」
「だからここだ」
「……!?」
あの男がこの小さな物体の中に…?ありえない。
訳のわからない僕はクマを手に取り、からくりをくまなく探した。
ぬいぐるみにしては妙に重たい。
「…あ」
「やれやれ。まったく相変わらずだな、君は」
「うるさいよ」
よく見ると、背中の縫い目が少しほつれていた。
ここから何かを埋め込んで、リモコンでどこかから操作をしている―――。
となると、柊はこの近くにいるはずだ。
「今日はこの姿で参加させてもらうよ」
「でもお前…」
「深くは聞くな。俺にも“男の事情”というものがある」
クマが変に低い声でカッコつけた喋り方をしているせいで、後ろから失笑が漏れる。
僕も吹きそうになるのを何とかこらえる。
「そういうワケだ。君もこのパーティを楽しんでくれたまえ」
クマはそれっきり何も言わなくなった。


変なパーティだな、と思いながら、僕は会場の隅にある椅子に腰掛けた。
すると川田先生がグラスを持って僕に向かってきた。
「結構なご身分ね」
「え?」
「まだパーティも序盤だというのに、もうくつろいじゃって」
「あ、いや、なんていうか…」
「年上で先生でもある私よりも先に座るなんて、どうかしてるわ」
「うっ…すみません」
「ふふっ、冗談よ。冗談」
先生は冗談を飛ばしながら、僕にグラスを手渡した。
「先生、このパーティっていったい何なんですか?」
「教えてほしい?」
「もちろんです」
「そう。じゃあ…あれから1年、と言えばわかってもらえるかしら?」
(1年……あっ)
先生の言わんとするところを、少し間を空けてようやく理解した。
それを先生は感じ取ったらしく、話題をすぐに切り替えた。
「もう1年になるのね」
「そうですね」
「この1年で、あなたは何か変わった?」
「うーん…女の子の友達が増えた、ってところでしょうか」
「そう。ずいぶん頑張ったのね」
「あはは…」
「授業中にあなたを当てたら『好きです!』なんて変な答えをするくらいだったものね」
「あ、あれは…」
「わかってるわよ、あなたがあの時何を考えてたか」
「……」
返す言葉がない。
先生の持っている勘というか年の功というか、いわば第六感はとても鋭い。
僕は頭を掻いて苦笑いするしかなかった。
(それにしても先生、いつにもまして綺麗だな…)
眩しいほどに輝いている先生のワインレッドのドレス。
あまりの輝きに直視するのもためらわれる。
目のやり場に困る、とはこういうことを言うんだと思った。
「ところで、今日はみんな忙しいのに集まってくれたのよ」
「えっ?」
「咲野さんは合宿明けだし、二見さんは留学から帰ってきたばかり」
(……)
「水澤さんは“自主”休講だって言ってたわね。星乃さんも、授業があるのにわざわざ休んで輝日南まで戻ってきたらしいから」
「はぁ…」
「うちの生徒じゃない子たちは、みんな都合をつけて参加してくれてるのよ」
そこまでしてみんなが参加するパーティって…。
パーティの趣旨はわかっているけど、わざわざ予定を空けてまでこの集まりに来る必要性が理解できない。
「どうしてみんながここまでするか、知ってる?」
「いや、全然見当が…」
「じゃあ、あとで屋上へ行ってみるといいわ。“本当”の答えがわかるはずよ」
「は、はい…」


++++++++++


先生の言葉が腑に落ちないまま、僕は先生に言われたとおり屋上へ向かった。
(“本当”の答え、って何だ?)
すっかり暗くなった夜の屋上。
煌々と照る月の光が、輝日南の街を照らす。
「相原…君」
フェンスにもたれて思案を巡らせていると、僕を呼ぶ声がした。
少しソプラノがかった控えめな声。
「星乃さん」
いつになく着飾った星乃さんが、そこに立っていた。


「せっかく輝日南に戻ってきたことだし、相原君ともう少し一緒にいたいの」
「…うん」
二人横並びになって、同じ月を眺める。
純白のドレスを着た彼女は月の光に照らされて、より魅力的に見えた。
「今日、授業休んだんだってね。川田先生から聞いた」
「…うん」
「まじめな星乃さんがそんなことするなんて、意外だった」
「そう…かな?」
僕はひとつこくりと頷いてみせた。
彼女は何も言わず、にこりともくすりとも取れる微笑を浮かべる。
「どうしてそこまでするの?」
すかさず僕は彼女に本心をぶつけてみた。
「それは…」
「それは?」
「…何でもない」
核心に迫ろうとすると妙に焦らす星乃さんの癖。
―――もう一回。
「どうして星乃さんが学校を休んでまで輝日南に戻ってきたのか、僕は知りたい」
僕の問いかけに対して、困ったように眉を下げて反応する星乃さん。
目線が下を向きながらも四方に散らばっているのが見える。
「それは…言えない…」
「どうして?」
「…どうしても」
(……)
いつだったか、彼女とこんなやりとりをした記憶がある。
確か、まだ転校する前のことだ。
そのときも今と同じように困った表情をして、目線は散らばっていた。
(ひょっとして…)
僕の勘が、体を勝手に動かした。


僕は星乃さんのすぐ後ろに立ち、その場でそっと抱きしめた。
彼女は体をピクリと震わせて驚いた後、恥ずかしそうに顔を俯かせた。
そのまま僕の腕の中で体の向きを変え、僕の胸に頭を預ける。
胸元に女性の髪独特のふんわりとした感触がする。
僕はその髪を、伸びている向きに従ってゆっくりと撫でていく。
すると、胸の中で何かが流れ落ちるような感覚を覚えた。
(星乃さん…)
流れ落ちたそれが彼女の涙だとわかるのに、時間はかからなかった。


僕は何も言わず、星乃さんにハンカチを手渡す。
涙を拭いて僕の顔を見上げる彼女に、僕はキスをした。
僕の背中を抱きしめる彼女の手に力が入っているのを感じる。
それと同時にまた彼女の頬を涙が伝っているのを感じて、胸が締め付けられる思いがした。
「…ありがとう」
星乃さんの頬に残るまだ新しい涙の筋を見て、また切なくなる。
「相原君、これ…」
彼女が持っていた鞄から取り出したのは、縦長の四角い箱。
その箱には赤いリボンがつけられている。
「相原君にこれを渡したくて、輝日南に戻ってきたの」
「星乃さん…」
「誕生日、おめでとう」
(えっ?)
誕生日―――そうか、そういうことだったのか。
みんな、僕のためにわざわざ集まってくれたんだ。
僕は自分の誕生日も忘れていたというのに。
「あ、ありがとう」
「その箱は、家に帰ってから開けてね」
「うん」
ここで開けて欲しくないのは、たぶん恥ずかしいからだろう。
そう感じた。
「それじゃ、私…行くわね」
頬を赤らめながら小走りで去っていく星乃さん。
僕はその場に立ったまま、手を振って見送った。


(家に帰ってから開けて、か…)
両手の手のひらに乗せると、少しだけズシリという感触がした。
この重さの正体は何だろう。
中身が気になる。
でも、星乃さんはああ言ってたし…。
我慢しようとすればするほど湧いてくる誘惑に、僕は困り始めていた。
開けたい。でも開けられない。
(うう…)
星乃さん、ごめん。
心の中で謝って、僕はこっそりその包装を開けてみることにした。
包装紙に貼られたテープを一枚ずつ剥がし、中身を見ようとした瞬間。
タイミングよく足音とともに声が聞こえてきた。
「そろそろ私の出番かしら」
「く、栗生さんっ…」
「い、いつの間に…!?」
「いつの間にも何もないわよ。さっきから階段のそばにいたわ」
「……」
嵐の前の静けさか。
いつもは口調が荒い栗生さんが、冷静な口調で僕を叱りつける。
彼女は指をポキポキと言わせ、僕の恐怖感を煽る。
「それにしても約束を簡単に破るなんて、男としても人間としても最低ね」
「こ、これは…」
「問答無用っ!!」
襟を掴まれた次に見た光景は、星の出ていない真っ暗な夜空だった。
腰がズキンと痛むのを感じる。
「たぶんそんなことだろうと思ったわ」
「……」
いつの間にか、パーティに来ていたみんなが屋上に集まっていた。
みんなが僕を睨むように見つめている。
その中に、さっき別れたばかりの星乃さんもいた。
彼女は無言のまま腕を震わせ、拳を握り締めているように見えた。
「先輩、約束を破るなんてひどいです…」
なるみちゃんの泣きそうな声が、僕をより苦しめる。
「さて、約束を破る男はお仕置きしてやらないとな~」
「また、お楽しみ…増える…」
頭上から、一度眠らされたときに聞いた低い声がする。
振り向こうとして長袖のカッターシャツの生地が頬に当たったところで、僕の意識はなくなった。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

コメント

星乃さん、初めまして!
いつも楽しく読ませてもらってます。こういうサイトに投稿するのは初めてなので、色々教えてもらえると幸いです。

自分はmixiに参加してないので、星乃さんの状況が分からず、
この2ヶ月間、首を長くして更新を待っていました。
web感想文にも書いたのですが、自分は今、大学1年ですが、
ここのサイトの作品のお陰で、高3の時の失恋から8~9割がた
立ち直ることができました。今はゲーム小説ではなく、1つの作品として楽しませてもらってます。

仕事でお忙しいと思いますが、ガンバってください!

【2007/07/15 08:06】 URL | ケイン #-[ 編集]
>ケインさん
はじめまして!
web感想文読ませていただきました。
返信できてなくてすみません。

微力ながらお役に立てたみたいでよかったです。
作品として見ていただいているということで、とても嬉しいと同時にプレッシャーも感じてます(笑)

頻繁に更新はできませんが、月1~2ぐらいは更新できればと考えてますので、またちょくちょく立ち寄ってみてください。
それでは。
【2007/07/16 23:03】 URL | Author #y/MN7pSg[ 編集]

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『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
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