キミキス*Kimikiss SS図書室
PS2ソフト「キミキス*Kimikiss」(©2006 ENTERBRAIN,inc.)のメインヒロイン・星乃結美をメインにした創作小説図書室です。

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桜の咲く道で -2-

1週間ぶりの第2話です。


おまけCD届きましたがその感想はまた後日。
+++++++++++


「今日から大会メニューでやるから、みんな気を引き締めてね!」
「はいっ!!」
部員たちの大きな返事がプール全体にこだまする。
自分を奮い立たせるために、今日から厳しいメニューをこなすことにした。
学園祭前にシーズン最後の大会があるから、ちょうどよかったんだ。
そう自分に言い聞かせた。


「そこ、フォームが固いわよ!もっと力抜いて!」
「ターンのけり込みが甘い!次のターンはしっかり蹴って!」
メガホンを片手にプールサイドで檄を飛ばす。
部員たちがそれに応えるのを見て、指導する声にも力が入る。
その自分のひと声でピンと張り詰めた空間が作り上げられていくのを感じて、気持ちが満たされる。
(うん、いい感じ)
自分も集中できているのが実感できて安心する。


ピーーーーーッ!


「はい、今日はここまでね」
「ありがとうございました!失礼します!」
照明が点き始めたプールで、元気のいい声がもう一度こだました。


―――部員のみんなが帰った後。
私は一人で水に浸かった。
タイムを気にせずただ自分のペースでゆったりと泳ぐ。
あえてクイックターンをせず、タッチターンをやってみたり。
気分に合わせてメドレーを取り入れたり。
好きな場所で自分だけの空間を作ることで、自分らしさを取り戻そうとしていた。


(……ふぅ)
プールから上がって思わず出たため息。
動きの硬さを実感したのもあるけれど、もうひとつ。
胸の奥にしまっていた昔の記憶が、ため息を作り出した。


++++++++++


「川田、頑張ってるな」
「あ、先生」
「その調子なら大会でも上位に食い込めるぞ」
「本当ですか!?」
あの人―――先生に気にかけてもらいたくて、私は人の倍以上の練習を重ねた。
全体の練習が終わっても、教官室の電気が消えるまではずっと泳ぎ続けていた。
「先生!」
「お、キミか」
居残り練習を終えると、いつも私は玄関で先生を待ち伏せた。
電車通勤の先生と、駅まで授業の質問があると言い訳を作って二人でいられる時間を作った。
私は自転車を押しながら先生の横を歩く。
今は言えない、密かな想いはそっと胸にしまって。


教師と生徒―――世間的には恋愛することが許されない関係。


許されない理由はただひとつ。教育上の問題。
人の道を教える教師という人間が、自分の教え子に手を出すとは罷りならない。
そんな常識が世間では成り立っていた。
これのせいで、「教師が生徒に手を出した」ということが表沙汰になればすぐに始末書を書かされる。
私の周りにも先生に恋をした人はいる。でも、先生たちは決まって「卒業したら考える」の一点張り。
それはつまり『君とは恋人になれないんだ』という断り文句の裏返しだった。
叶わない片想いを、私は何度も目の当たりにしてきた。
そんな私の初恋が…先生だった。
先生として好き…なだけではなく、人間としても好きだった。
だから“教育者”という肩書きで恋愛を制限されてしまうことに苛立ちさえ感じることもあった。
好きになったのにコソコソしないといけないなんて嫌。


いつか堂々と歩けるようになりたい。それが私にとってひとつの目標だった。
卒業まで、はやる気持ちをどうにかこらえて過ごした。


なのに…。


++++++++++


「先生!川田先生!」
「…えっ?」
「どうしたんですか?すごく深刻な顔してましたよ」
飛び込み台に座っていた私に声をかけてきたのは咲野さんだった。
とっくにみんな帰ったと思っていたから、油断していた。
「先生、最近ちょっと変です…」
「えっ?どこも変なところなんてないわよ」
強がりを言ってるのは自分でもわかっているけれど、生徒の前で暗い顔をすることはできない。
出来る限り明るい表情を作って応対した。
「…まあいいや。それじゃ、お先に失礼します」
「気をつけて帰ってね」
「はい」
怪訝そうな表情を浮かべられてヒヤリとしたけど、何とか乗り切った。


誰かに話したい。
でも、誰にも話せない…。
もどかしさだけが募る私の心の中は、曇った夜空のように真っ暗だった。
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学

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Author:星乃裕一
SS書き5年目。

『キミキス』『TLSS』(PS2)の二次創作をやってます。
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